JR東海、新型リニアの「大きな一歩」 2027年開通に向けて、ようやく8合目

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リニアは新幹線すらまだ走っていない1962年に研究に着手、1974年には宮崎県にある実験線で「ML100」が有人浮上走行を行った。当初は時速60キロメートルに過ぎなかったが、何度も研究を重ねて1987年には時速400キロメートルでの有人走行に成功した。1997年から実験の舞台は宮崎から現在の山梨へと代わり、実験車両も少しずつ新造、改造を繰り返し、ようやく今日のL0系に至った。

過去の積み重ねが時速500キロを作る

つまりL0系とは過去51年間にわたる研究の積み重ねである。L0系と先代の試験車両の間に“サプライズ”はないのかもしれないが、初期の頃の試験車両と比較すれば雲泥の差がある。

東京―名古屋間のリニア営業運行開始は2027年。まだまだ先のように思われるが1962年の研究開始から数えれば、ようやく8合目までたどり着いたことになる。しかも、将来は本線として使用される山梨実験線の延伸工事が完成し、そこへ営業仕様のL0系が乗り入れる。リニアの最終形が見えたという点では、「大きな第一歩」に違いない。

今後、L0系は6月半ばまで低速の車輪走行による試験を行った後、浮上走行による機能調整をしながら、9月に本試験を再開する予定だ。速度を少しずつ上げながら、編成車両数を少しずつ増やしながら、完成形に近づけていく。その意味で何かが劇的に変化する“サプライズ”は、今後も期待できないだろう。だが、山登りと同じで、振り返ったときにその道程の長さに驚く。JR東海とはそういう会社なのである。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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