「豊島区再生」に挑む日本一有名な大家の手腕 消滅可能性都市から脱せるか

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空室率25%だったロイヤルアネックスを「行列のできるマンション」によみがえらせた青木純氏は、豊島区を活性化するさまざまなイベントに従事している

若い女性の人口が急減し、2040年までには消滅する――。2014年、東京23区で唯一「消滅可能性都市」に選ばれてしまった豊島区。池袋という都内屈指の繁華街を抱えながらも、20~30代女性の人口減に伴う子どもの人口縮小で、将来的に税収が激減するため、社会保障などを維持するのが難しいとの予測は、豊島区民のみならず多くの人に衝撃を与えた。

その豊島区で、区の活性化を目的とした「としま会議」なる新たな取り組みが行われている。中心となっているのは、「日本一有名な大家」と呼ばれる青木純氏だ。同氏は、豊島区にある賃貸マンション「ロイヤルアネックス」の4代目大家で、入居者が自分の好きな壁紙などを選べる「カスタマイズ賃貸」や、間取りから選んで住める「オーダーメイド賃貸」を始めて一躍有名になった。これによって、最悪時には空室率25%に陥っていた築28年の物件を、約2年で空室待ち100人超の「行列ができるマンション」に生まれ変わらせた。

「としま会議」とは何なのか

さて、としま会議が何たるかを知るには、まず始めることになった経緯を知る必要がある。

地下鉄丸ノ内線「新大塚」もしくは有楽町線「東池袋」から歩いて10分ほど歩いた地区にあるロイヤルアネックスは、全63戸の住宅に加えて、2階部分にはテナントが入居している。カスタマイズ賃貸などによって住宅部分は2年で満室となったが、実はその間にテナントが徐々に減っていた。住宅とテナントではターゲットが違うため、住宅の人気が高くてもテナントは埋められないことがあり、ついにはすべて空室になってしまった。

テナントは建物の「顔」であり、適当なテナントを入れてしまえば建物の価値が下がってしまう。それなら、時間はかかっても住民が必要とするテナントを自分で育てようと考えた青木氏はまず、許認可が不要で、外の人がマンション内に入るきっかけとなる業種を考え、幼児教室を誘致。次にそこに通ってくる母親たちが作業できる場としてコワーキングスペースを作ったが、いずれも2階に立地しているとあって客足は伸びなかった。

そこで思いついたのが、地元に住んでいたり、働いていたりする人に、それぞれの活動について語ってもらうイベントである。魅力的なイベントがあれば、おのずからロイヤルアネックスに足を運んでくれる人も増えるだろうという考えだった。すぐに青木氏を含め、豊島区に縁のある5人で運営委員会を作り、2014年8月に第1回目のイベントにこぎ着けた。これがとしま会議の始まりだ。

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