三菱自動車「eKワゴン」の内なる敵 日産との共同開発、新型軽自動車を投入

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「eK」「デイズ」ともに事前受注台数は約1万2000台と同数だったが、月販目標は日産8000台に対し、三菱自は5000台。全国で約2200店の販売店を持つ日産に対し、三菱自は680店ほど。単純に販売網は約3倍違う。車体のデザインなどを除いてほぼ同じ車を売る両社で、主導権を握るのは日産だ。

たとえば日産はスズキの「MRワゴン」を「モコ」としてOEM調達している。現行モデルが発売された2011年1月以降の累計販売でスズキが約8万台に対し、日産は15万台以上を販売した。販売網やブランド力の差で、このような逆転現象が表れる。

「デイズ」こそが「eKワゴン」最大のライバル

三菱自にとっては「eKワゴン」というヒット車のブランドを引き継いでも、同じコンセプト、設計の「デイズ」も消費者の選択肢に入り、三菱自のみで展開した場合と比べて、新車効果が薄れる懸念もある。つまり、日産「デイズ」こそが最大のライバルになる。

三菱自の国内販売は正念場を迎えている。昨年末、三菱自はリコール問題をめぐって、国土交通省から異例となる口頭での厳重注意とともに、本社や全国の販売店への立ち入り検査を受けた。国交省は今年4月に法令違反が確認されず行政処分は科さないとの方針を示したが、不具合情報を把握しながらも国交省に「不具合ゼロ」と報告するなどの問題点を指摘され、改善策の策定・実施、報告を指示された。

昨年8月、約2年半ぶりとなる独自開発の新型車として国内に投入した「ミラージュ」は当初のもくろみどおりには売れず、環境対応車として意気込んだ「アウトランダーPHEV」もバッテリーに不具合が生じるなど品質問題が発生した。12年度の三菱自の国内販売シェアは2.8%。11年度の3.5%からさらに落とし、国内メーカー最下位となった。

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