「元シャープ社員」が支えた日本電産の好決算 会議縮小で効率化、2020年残業ゼロ目指す

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縮小

今、日本電産社内で効果を上げ始めているのが、1年ほど前から取り組む「スマートファクトリー戦略」だ。IoT(モノのインターネット)事業の第一段階として、自社工場にIoTを導入して生産性向上を図っている。稼働状況の見える化や故障の予兆検知などに励む。この取り組みを指揮するのが、元シャープ会長の片山幹雄氏だ。

「自分たちの工場でIoTを具体化して効果を見ている。こんなに早く効果が出るとは予測していなかった。私も現に中国の工場を見に行ってずいぶん驚いた」(永守会長)。工場内の物流はほとんどAGV(無人搬送車)が担い、ロボットの導入も進めているという。

その出来栄えに永守氏は満足げだ。「工場内の景色が大きく変わった」。機械による省人化が進み、定年退職などの人員の自然減に対し補充する必要がなくなった。結果、この1年で海外工場の従業員7500名の人員削減を成し遂げた。さらに7500名の人員が削減できる計算だという。

シャープ出身の家電技術者に活躍の場

製品の収益性自体も高めている。日本電産の注力分野の一つに家電向け製品がある。モーターの単体販売から、複数の部品を組み合わせて付加価値を高めたモジュール販売へと舵を切っている。エアコン、冷蔵庫、洗濯機向けに販売が増えているという。単体販売よりも大きな市場規模を見込め、かつ採算も良いモジュール販売を今後も拡大させる方針だ。

だが、課題もある。複数の部品を最終製品に合わせて組み合わせるモジュール化は、従来のモーターの技術者だけでは進められない。エアコンや洗濯機など、最終製品側の技術者が必要になる。「(中期目標である)2020年に3000億円の営業利益を上げるためには、今年と来年の2年で中途採用によって課長以上の管理職を1000人ほど確保しないと間に合わない」(永守会長)。

日本電産には、経営不振に陥ったシャープから次々と技術者が流れてきている。家電の知見をもつ人材が日本電産に殺到していることは、同社にとってさらなる追い風となるだろう。逆風をはねのける日本電産の快走はまだまだ続きそうだ。

東出 拓己 東洋経済 記者

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ひがしで たくみ / Takumi Higashide

半導体、電子部品業界を担当

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