サムスンが惚れた、有機ELベンチャーの正体 異例!ライバルLG、JDIもこぞって出資

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キューラックスの固い決意にサムスンも単独出資を断念。結局、サムスンを呼び水に、ライバルメーカーのLGや有機ELの量産化を目指すジャパンディスプレイを含めた出資が実現することになった。

キューラックスは高価なクリーンルームや設備を自社で保有せず、九州大学などの設備を共同利用することで投資を抑えている。そのため、3社から調達した15億円は材料費や人件費に充てられている。

それでも、出光興産やダウケミカルなど、多くの研究者を抱え新材料の研究を進めている大企業には規模では到底かなわない。

巨人インテルやARMになれるか?

そこで、より効率的に研究を進めるため、ハーバード大学のAI(人工知能)による深層学習システムを導入するなど、開発コストの削減と期間の短縮を図っている。サムスンなどメーカーは一日も早い商品化を望んでおり、「2018年には(既存材料の弱点となっている)青色のTADF材料を商品化したい」と安達CTOは話す。

有機ELディスプレイの量産化では韓国2社に大きく引き離されている日本勢。しかし材料分野では、業界標準となるような新材料を開発できれば、一発逆転のチャンスもありうる。

あらゆる電子機器に入り込む半導体設計大手の英ARMや半導体大手の米インテルのように、供給先のメーカーにとって、なくてはならない存在に化けることができるのか。キューラックスの挑戦は始まったばかりだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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