森永ミルクキャラメル、100年目の正念場 定番商品で、大規模キャンペーンを打つ事情
菓子の定番7商品とは森永ミルクキャラメルのほか、「森永ビスケット」「小枝」「おっとっと」「ダース」「チョコボール」「ハイチュウ」である。なじみの有名商品ばかりで、それぞれの歴史も長い。
一方で、近年は菓子業界全体で競争が激化。従来の競合メーカー品との戦いに加え、小売りの自主企画であるPB(プライベートブランド)商品が急速に増加したことや、節約志向の高まりをうけ、そもそも必需品でない菓子を控えるという消費者の動きも、定番品の苦戦に影響した。
第8、第9の柱はまだ現れず
森永製菓は、定番7商品に続く商品の育成を進めている。近年では、夏でも溶けにくいチョコレート「BAKE(ベイク)」や、新しい食感をアピールした「生ラムネ」などがそうだ。ただ、これらは比較的健闘しているが、森永製菓にとって“第8の柱”、“第9の柱”と言えるほどまでの存在には育っていない。
これが、森永製菓にとって悩ましいのだ。菓子メーカーにとって「定番品」は重要な位置を占める。消費者は食べ慣れた商品や既存のブランドに安心感を見出す傾向があり、売り上げの依存度が低くない。特に景気が悪くなると“定番品回帰”の色が強まる。長い歴史を持つ定番品は製造工程が徹底的に効率化されているうえ、製造ロットが大きいなどの理由で、一般的に利益率も高い。
定番7商品は森永製菓の菓子事業の売り上げの半分近くを占めるが、同じような構図は、日本の大手菓子メーカー、とくにチョコレートやビスケット系のメーカーが少なからず抱えている。
森永製菓は今年度(13年度)、売上高1677億円(前年比9.7%増)、営業利益41億円(同52%増)を計画する。これを達成するには、新商品だけでなく、利益率の高い定番品のテコ入れが欠かせない。だからこそ、代表選手である森永ミルクキャラメルの100周年という大きなイベントを生かした販促活動がキモとなるのだ。
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