外国人ガッカリ!日本の鉄道「期待外れ」10選 言われてみれば日本人も納得?意外な欠点

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8)東京の地下鉄が2種類ある

東京メトロと都営地下鉄の2つに分かれた東京の地下鉄は、日本人でも慣れない人にはわかりにくい(撮影:尾形文繁)

都会の鉄道、とくに首都東京の地下鉄に、東京メトロと都営地下鉄の2種類があることはなかなか理解しがたいであろう。それも運賃体系が別々とあっては、路線図をしっかり見ないと混乱する。幸い、外国人など旅行者向けの共通フリーきっぷ「Tokyo Subway Ticket」(24時間、48時間、72時間)があるので、これを購入できれば、ストレスなく都内を移動できるだろう。

もっとも、こうしたきっぷは磁気カードなので、ICカード専用の改札機を利用できない。最近はICカード専用の改札機が増え、磁気カードが利用できる改札機が激減して目立たない駅がある。磁気カードの挿入口が見つからず、困っている外国人利用者を目にすることが少なからずあり、都市在住の鉄道ヘビーユーザー以外には、ちょっと冷たい気がする。

荷物が多いと乗りづらいことも

9)意外に多い「非バリアフリー」駅

チケットの問題は解決したとして、次のハードルは、まだまだバリアフリーでない個所が目につくということだ。都内の駅ではかなりエレベーター、エスカレーター、スロープが普及したとは言うものの、エスカレーターは上りのみや下りのみということもある。スムーズに移動できると思って安心していたら、数段とはいえ階段だけの個所が残っていて、重いスーツケースを転がしている旅行者にはストレスになるところもある。再度点検して、2020年までには何とかしたいものである。

10)スーツケースの置き場がない!

「のぞみ」のところでも触れたが、大きなスーツケースを置く場所のない車両が多く、旅行者が困っているのは改善の余地があろう。そんな中、北陸新幹線では、座席を一部つぶして荷物置き場にした。海外からの旅行者にとっては朗報である。

我が国の大都会の通勤路線では、混雑が激しいので、大きな荷物を持った旅行者とトラブルとなることがままある。とくに空港アクセス路線でもある線区では問題が深刻だ。荷物置き場のあるアクセス用の特急があっても、料金を節約するために普通列車を利用する外国人は少なからずいる。関西のある私鉄では、マナーなどの問題が深刻化しているのだが、妙案はないようである。

以上で10項目あげたが、最後にもうひとつだけ。夜間移動のできる夜行列車が、事実上、東京~高松・出雲市間の「サンライズ瀬戸・出雲」だけになってしまったということ。これも何とかならないものだろうか。

以上、便利な日本の鉄道ではあっても、盲点となっている外国人からの指摘をまとめてみた。改善可能なところは、ぜひ早急に対応して欲しいと思う。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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