生命保険の付加保険料率は正当化できるのか

競馬などと比べて胴元の取り分が大きすぎる

20歳の場合には月に1027円を支払う保険料のうち394円が保険会社の取り分、50歳の場合には月に5393円支払う保険料のうち919円が保険会社の取り分になります。つまり、相対的に付加保険料の比率が低くなる50歳であっても、”定期保険専用ATM機”に5000円入金すると900円くらいの手数料がかかるようなものなのです。

しかし、ここで注意が必要なのは、これは保険料が業界最低水準といわれている商品の例なのです。同社の純保険料をもとに、複数の大手生保で同じ「定期保険」に加入する場合の保険料を確認すると、計算過程は省略しますが、付加保険料率は70%前後にも達することがわかります。

「大手の定期保険専用ATM機に1万円入金すると約7000円の手数料が引かれる」イメージです。公営ギャンブルにおける25%の控除率がヤクザまがいであるとしたら、30~70%にもおよぶ付加保険料率は、どのように受け止めたらいいのでしょうか。

保険数理の専門家によると、市場で人気がある「医療保険」でも、保険料に占める保険会社の運営費の割合は30%程度と認識して良いそうです。やはり競馬にも劣る仕組みではないか、と感じてしまいます。

ギャンブルと保険を並列的に語ることなど

このような私見をさまざまな媒体で発信していると、保険業界関係者から反論されることもあります。

たとえば、大手生保の場合、見込みよりも保険金支払いが少なかった場合などに配当金を還元する仕組みもあるため「配当を無視した暴論」と言われたりします。

たしかに、大手生保は配当金を支払うこともあります。しかし、特定の企業や団体の社員などが加入できる「団体保険」で、保険料の30~50%程度の配当金を支払っている例を見ることはあっても、個人向けの一般商品で数十パーセントもの配当が支払われた話を見聞きしたことはありません。

保険料の評価を一変させるような事実があれば、もっと宣伝されるのではないでしょうか。実際、大手生保が契約を引き受けている「団体保険」のパンフレットに、配当金の支払い実績が目立つように表記されていることは珍しくないのです。

また、ギャンブルと保険を並列的に語ることを疑問視する意見もいただきます。一獲千金をもくろむ賭け事と、家族への愛情や切実な思いが込められた契約を比べるなど不謹慎だというのです。

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