アマゾン、「漫画用キンドル」は売れるのか? 同社史上初!日本限定モデル投入の狙いは

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一方で、気になるのは読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド」における作品取り下げ問題だ。アマゾンは8月にサービスを開始したが、出版社に断りもなく、一週間足らずで作品を取り下げたというものだ。一時は20社近くが全作品を取り下げられた状態になっていた。講談社や小学館など、大手はアマゾンに説明を求めて抗議している。

アンリミテッドのラインナップは12万冊以上。人気作家のベストセラーもそろえている点が特長だった

アマゾンは読み放題の作品を多くそろえるために、出版社に支払う利用料を2016年の年末まで上乗せする契約を結んでいた。ダウンロード後、書籍や雑誌の1割以上が読まれた場合、1冊すべて読まれたのと同じ収益を支払うことになっていたという。ただ、予想よりもユーザーが殺到したために、作品を取り下げたのではないか、と言われている。

10月17日現在、アマゾンはアンリミテッドの対象作品について「随時変動しますが、これらの作品はキンドルストアでご購入いただけます」としており、一連の問題については、事の経緯の説明も含め、回答を避け続けている。

満を持して始まった読み放題サービスだけに、「幅広い作品が定額で読める」と期待したユーザーは多いはずだ。詳しい事情は不明だが、多数の作品を取り下げる行為は、そうした期待を裏切ることにならないだろうか。創業以来、顧客第一主義を掲げてきたアマゾン。ユーザーのためにも、早期に出版社側と和解することが求められる。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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