高学歴地帯「中央線」で読まれている新聞は? 下町は産経強し、新聞購読に現れる地域性

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中央線沿線は朝日新聞がもっとも読まれている地域が多い(筆者調査のデータを元に作成)

この中で特徴的なのは、都内で朝日新聞がトップとなっている13市区だ。23区内では文京区・中野区・世田谷区・杉並区の4区、市では武蔵野市・三鷹市・狛江市・小金井市・多摩市・稲城市・国立市・西東京市・国分寺市の9市が該当するが、実にその約6割となる8市区(中野区・杉並区・武蔵野市・三鷹市・西東京市・小金井市・国分寺市・国立市)がJR中央線の沿線なのだ。

中央線沿線、特に新宿区から国分寺市にかけてのエリアは首都圏でも特に高学歴層が多いエリアだ。今回調査の対象とした78自治体の人口に占める大卒者の割合は平均20%だが、中央線の中野―国分寺間にあたる上記の8市区平均では約28%と、全体と比べて極めて高く、他の沿線と比べても突出した「高学歴ベルト地帯」となっている。

朝日新聞は媒体資料で大学・大学院卒の読者が多いとしており、朝日新聞の東京本社版は、全読者に占める大卒者の割合が40.2%だという。これらの地域で一番読まれている新聞が朝日であることは、同社の説明を裏付ける結果といえよう。

同じ路線でも場所によって違う

同じ傾向はほかの沿線でも見られる。たとえば東急田園都市線は、都内では朝日新聞が1位の世田谷区内を通るが、多摩川を越えて神奈川県内に入った川崎市高津区、宮前区は読売が強いエリアだ。しかし、駅名でいうとたまプラーザから先、横浜市青葉区では朝日のシェアが再びトップになる。

同区は住民に占める大卒者の割合が31%と、こちらも首都圏有数の高学歴エリアだ。中央線沿線と同様、朝日が謳う「大卒・院卒読者が多い」という特徴がここにも出ていることになる。

では、朝日新聞は鉄道沿線の特性や地域性を意識した販売戦略を展開しているのだろうか。同社によると、特に中央線沿線などに重点を置いているということはなく「売れ行きは個々の販売店の努力によるもの」だという。だとすれば、この結果は朝日新聞自体がこれらの層に支持されていることを示しているといえるだろう。

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