日本株、「暗黒の1987年」との共通点と相違点 ハンパない海外投資家の売り越しは終了?

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前出のように、2016年の海外投資家は日本株を6兆円超も売り越している。しかし、その売り越しペースは、原油急落となった1~3月の5兆円の売りに対し、4~9月が1兆円の売りにとどまる。「老いるマネー」と揶揄された産油国の政府系ファンド(SWF)は、年前半に財政不安の穴埋めで日本株中心に大きく売り越していたが、年後半に日本株売りも一巡しつつある。

原油価格をめぐる「二つのサプライズ」

足元では二つのサプライズによって、原油価格は戻り歩調を強めている。まず一つ目のサプライズが、9月末にアルジェリアで開催された国際エネルギーフォーラムだ。石油輸出国機構(OPEC)の臨時総会であったものの、サウジアラビアから8年ぶりとなる減産に向けた方向性が打ち出された。OPEC加盟14カ国の原油生産量の上限を1日あたり3250万~3300万バレルとすることで合意、最大で70万バレルほど減らすことを決め、非OPECのロシアなどに協調するように求める方針を示していた。

二つ目のサプライズが、10月10日にトルコのイスタンブールで開催された世界エネルギー会議。そこで、ロシアのプーチン大統領が「OPECの減産合意や産油量の据え置きに対し、ロシアも増産凍結もしくは減産に協力する」との踏み込んだ意向を示した。この発言を好感し、WTI原油先物が約4ヵ月ぶりに51ドル台まで戻している。

しかし、テクニカル面からみるとWTI原油先物の年間騰落率は2015年が30%安に対し、2016年はすでに38%高に達している。また、長期投資家の売買コストとされる200日線(41ドル台)に対しても、+23%も上放れている。さらに今年のWTI原油先物は2月安値26ドルから10月高値51ドル台へ約2倍まで大きく反発している。

こうして見ると、今後の原油価格がもう一段高くなるには、11月30日にウィーンで開催されるOPEC定例総会で正式に減産合意し、各論を協議していくことが必要となるだろう。

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