それでは赤字路線を企業努力で高収益化できるかというと、これもそうとうに難しいのです。赤字路線は「需要がないから赤字」というのが事の本質だからです。
移動というのは手段であり、目的ではありません。まず目的地があり、そこへの手段として路線があります。路線という手段をいくら充実させても、目的地そのものの魅力度をコントロールできないかぎり、単独で路線の増収は望めません。つまり鉄道会社が単独の努力で赤字路線を黒字化させるのは、容易なことではありません。
秩父や川越は観光コンテンツが豊富
私のいる会津では(バスの場合ですが)観光路線は高収益で僻地路線は低収益ですが、それは路線ごとの企業努力の差ではなく目的が魅力的かどうかです。
そうなると、やはり移動手段でしかない鉄道会社に、赤字路線の維持を押し付けるというのは、やはり全体最適につながりません。路線の目的需要を押し上げる努力を沿線自治体や観光団体も含め、地域一体となって盛り上げていくことが欠かせないと思います。実際に秩父や川越といった地域は観光コンテンツが豊富です。ただ、そのコンテンツそのものの競争力を上げられるのは、移動手段である鉄道会社と地域の一体感なのだと思います。
何年か前のことですが、複数の関係者間で共同プロジェクトを立ち上げ成功したときに、ある関係者が自分の手柄だと吹聴し、全体が少し険悪になりかけたことがありました。でもよく考えてみるとその出来事は、手柄を取り合うくらい関係者全員が認める成功したプロジェクトであることを意味しています。失敗して責任を押し付け合って険悪になるより、成功して手柄を取り合って険悪になるほうがはるかにましです。むしろそれくらいがプロジェクトとして望ましい状態といえるのかもしれません。
※本文は筆者の個人的見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。
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