「いきものがかり」とコラボした小田急の思惑 特急停車で勢いづく海老名、静観の厚木

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ところで、小田急と「いきものがかり」の本格的なタイアップは、2010年11月3日にさかのぼる。同日から本厚木駅ホームで「YELL」を、海老名駅ホームで「SAKURA」がそれぞれ列車接近メロディーに採用されたことが始まりだった。「地元への恩返しとして楽曲を提供したい」との「いきものがかり」からの申し出で実現したと言う。

その後も小田急が販売するミネラルウォーター「箱根の森から」における「いきものがかり」とのコラボレーションなど、両者の関係は続いていた。

11年ぶりに地下からロマンスカー

新宿駅地下ホームに停車する「ロマンスカーで行くでしょー号」(提供:小田急電鉄

いよいよ乗車当日となり、小田急線新宿駅へと向かった。同駅での特急ロマンスカーホームは2番・3番ホームであるが、「ロマンスカーで行くでしょー号」は各駅停車専用の地下7番降車ホームからの発車である。発車10分前頃、「ロマンスカーで行くでしょー号」は「臨時」の前面表示で、7番・8番ホームに入線した(「特別団体専用」の表示だった日もあったようである)。列車が近づいてくると、ホームで待ち構えていた大勢の人たちが一斉にシャッターを切った。

通常は地下ホームからロマンスカーに乗車することはできないが、小田急によると、2005年2月と3月に、50000形VSEの試乗会を実施した際に、新宿駅地下ホームから発車した実績があるという。今回11年ぶりにロマンスカーの地下ホームでの客扱いが実現したことになる。

列車の停止を見届けてから、車内へ移動し座席指定券に書かれた座席に着席する。発車まであと数分であったが、ほとんどの当選者が乗車を完了していたようで、座席はほぼ埋まっていた。そして、大勢の人たちに見送られて「ロマンスカーで行くでしょー号」本厚木行き8001列車は、11時18分定刻に出発した。出発直後に、吉岡聖恵さんによる録音の車内アナウンスが流れた。アナウンスの内容は通常の自動車内放送とほぼ同じであるが、列車のアナウンスは初めてという感じが伝わってきて微笑しい。

列車は順調に走行して多摩川を渡った後登戸駅を通過し、向ヶ丘遊園駅1番ホームで客扱いをしない運転停車を行った。同駅停車中に、今度は「いきものがかり」3人による、小田急線にまつわるエピソードを語り合う車内放送が短く流れた。車内の人たちは皆静かに聞き入っている。

列車は相模大野駅付近で一時停車した後に再び西進する。相模鉄道(相鉄)厚木線を直角で潜り抜けた直後、列車右手に海老名検車区が視界に広がって海老名駅が近づいてきたかと思うと、同駅手前で減速する。しかし減速解除後すぐに同駅を通過して高架区間を一気に駆け上がる。厚木駅手前付近から吉岡さんのアナウンスが流れてすぐに相模川を渡り、12時09分定刻に本厚木駅1番ホームに到着した。

駅を出てみると、イベントに関するスポーツ紙の号外が配布され、盛り上がりを見せていた。イベント参加者は、本厚木駅からさらにシャトルバスに乗り換えて会場へ向かった。

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