消費者被害に救済法、集団訴訟の期待と不安 消費者が企業を訴えやすくなる法案、審議始まる

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泣き寝入りはさせない──。布団のモニター商法など悪徳商法の被害者に代わって、特定の消費者団体が損害賠償請求を起こせる、消費者被害集団訴訟制度の導入が現実味を増している。

政府は4月19日に消費者裁判手続特例法案を閣議決定し、国会に法案を提出した。消費者集団訴訟の導入を定めたこの法案は、2009年に発足した消費者庁にとって創設以来の「悲願」ともいえる制度。同庁は4年がかりで検討を進めてきた。

今でも消費者は通常の民事訴訟で企業を訴えることができる。しかし、裁判には費用や労力がかかり、消費者被害の金額と比べて割に合わないなどの難点があった。また、これまで消費者被害を防ぐ民事上の手段としては、差し止め訴訟やADR(裁判外紛争解決手続き)を利用できたが、実際の被害分をおカネで取り戻せないなどの限界もあった。

新制度が導入されれば、消費者はその被害を比較的容易に回復できるようになる。消費者団体は「差し止め訴訟と合わせて、消費者被害防止の車の両輪になる」(全国消費生活相談員協会)と期待を寄せている。

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