“切り餅特許戦争”が第2ステージへ 越後が新たに提訴、サトウも反撃に自信満々
切り餅の表面に加えられたスリット(切り込み)の特許をめぐる、切り餅業界最大手・サトウ食品工業対同2位の越後製菓の訴訟が、越後が新たにサトウに対する訴訟を起こしたことで新たなステージに突入した。
今年の正月シーズンまで、サトウの切り餅には上下面に十字、側面に2本のスリットが入っていた。一方、越後の切り餅はサイドスリット1本のみ。両社ともにこのスリットで特許を取得しているのだが、越後側が、「サトウが自社の特許を侵害している」として2009年3月にサトウ食品を提訴したのがそもそもの始まりである。
10年11月30日、東京地裁がサトウ食品完勝の判決を出したが、11年9月7日、二審の知的財産高等裁判所が中間判決という形でサトウによる特許侵害を認める逆転判決を出した。
中間判決は争点が複数ある場合、争点の一部に裁判所が判断を出す手続きで、民事訴訟一般にはほとんど使用されることはなく、知財分野ではまれにではあるが利用されている。
この訴訟では、中間判決でサトウの侵害を認め、中間判決後は損害額の審理を行い、3月22日の最終判決では、サトウに約8億円の損害賠償の支払いと、対象製品の販売禁止、製造設備の撤去を命じている。サトウはこの判決を不服とし、最高裁に上告している。
今回越後は最高裁の判断を待つことなく、4月27日付で新たな訴訟を提起。サトウの手元に訴状が届くまでに約1カ月かかったので、5月29日にサトウが開示して判明した。
本稿では、便宜的に現在最高裁で審理中の最初の訴訟を「第一訴訟」、4月27日提訴の訴訟を「第二訴訟」と記述することにする。