スウェーデンで自死した難民少年の深刻な背景

アフガニスタン難民のアンサリさん自殺の理由

アンサリさんの悲劇は、移民・難民に対し最もオープンな政策を取るスウェーデンのような国においてさえ、受け入れの限界にあることを露呈している。2015年以降、保護者不在で独り欧州にやって来た若い亡命希望者は10万人以上いるが、彼らが直面する不安やリスクをも浮き彫りにしている。

スウェーデンは長い間、難民を歓迎しており、人道的な実績を自負している。2013年9月には全てのシリア難民に門戸を開き、人口当たりでは他のどの欧州諸国よりも亡命希望者を受け入れている。

しかし昨年、移民・難民100万人以上が不法に欧州に押し寄せるなか、大量の亡命申請によって至るところで手続きが停滞しており、スウェーデンは対処しきれていないことを明らかにした。

同国で手続きにかかる時間は、過去5年で3倍近くに増加。2011年には3カ月余りであったのに比べ、現在では中央値で9カ月超を要する。2014年以降、保護者のいない未成年者1000人以上の状況が分からなくなっており、そのうち3分の1がアフガニスタン人の男子だという。

スウェーデンは昨年11月、移民受け入れ数を制限し始めた。ロムソン副首相は、テレビでこのことを涙ながらに発表した。

「あまりに長きにわたり、あまりに多く(の移民)を受け入れてきた」と、ロベーン首相も当時語っていた。また移民担当相は今月、保護者のいない未成年の移民に対し、スウェーデンほど処遇良く受け入れた国が他にあるとは考えていないと述べている。

亡命申請手続きに当局がてこずっている間、さまざまな問題が生まれていると精神科医は指摘する。申請者はしばしば孤立し、なかにはこれまでの経験からすでにトラウマを抱え、精神疾患や自傷行為に陥りやすい人もいる。また、犯罪に手を染めたり、最悪の場合は武装グループに勧誘されたりすることもあるという。

「待たされる時間が長いほど、怒りも増す」と、医学史と精神医学の専門家である英ロンドン大学キングス・カレッジのエドガー・ジョーンズ教授は語る。

スウェーデン移民局は職員を増やし意思決定を簡素化したが、今なお待ち時間は増加している。同局によると、待ち時間は、今年後半にピークを迎え、12カ月に達すると予想されている。

「『12カ月、14カ月と待っているが、何も起きない』というような手紙を毎日受け取る」と、移民局のミカエル・リベンビク氏は語る。

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