三井化学、人材グローバル化戦略の凄味 海外の優秀人材を本社の経営層に登用

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このような会議だけでなく、われわれグローバルHRグループのメンバーが積極的に海外に出かけることも大事だと思う。中期経営計画の初年度は現地法人に行って現地社員とコミュニケーションをとったが、2012年は制度設計や施策実行に忙しくてあまり行けなかった。

グローバル人材マネジメントのプラットフォームはほぼ整備できた。あとは実行を加速に向けて「魂を入れる」段階に来ていると考えている。今後も現地にどんどん行って、現地に「刺さり込み」たい。

現地スタッフが成功させる「MCIアカデミー」

――現地にどんどん行って、実現するのはどんな施策ですか。

グローバルHRグループは、海外で採用された優秀人材を本社で経営層として登用可能な仕組みを作った。現在、現地法人の社長は買収会社を除き全員が日本人だが、これも現地採用の優秀人材が経営を担うほうが望ましい。

吉田 存方 三井化学 人事部 主席部員 グローバルHRグループ グループリーダー。
1989年バイオテクノロジーの研究者として三井化学(旧三井石油化学工業)入社。2006年より本社人事部にて主に人事異動を担当後、11年より現職

残念ながらまだ社長への登用例はないが、部長クラスへの登用は増えており、取締役になった者もいる。こういう事例を増やしていきたいと考えている。

そのために作成したのが人材データベースだ。海外の従業員数は3500名ほどだが、その中のマネジャー約300名についてデータベース化している。この人材データベースを生かすのが次のステップだ。

具体的にはタレント・マネジメントの実行ということになる。現地で優秀人材を発掘し、次に与えるポジションを考え、そのために必要な育成を行う。

こういう施策を本社から実行することには限界があるため、タレント・マネジメントを担うのは現地の人事スタッフだ。具体的な動きもある。三井化学(Mitsui Chemicals, Inc)の社名を関した「MCIアカデミー」をシンガポールのアジア・パシフィック地域の統括会社と域内の各拠点でスタートさせる。これはマネジメント研修やエンジニアリング教育などを行うものだが、主体は地域のスタッフだ。本社は予算面でのフォローをする立場だ。

この「MCIアカデミー」が成功したら中国にモデルを持っていき、中国版「MCIアカデミー」をスタートさせたいと思う。

(撮影:梅谷秀司)

 

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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