失速するマンション市場 積み上がる完成在庫、都心一等地でも異変

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価格、立地にますます厳しい目

秋葉原から快速で25分の「流山おおたかの森」。駅周辺は複合開発され、マンションや商業施設が建ち始めている。そうした中、駅前にあるプロパストの「プラティークヴェール」(128戸)はすでに完売。また、駅から徒歩4分にあるオリックス不動産の「ザ・フォレストレジデンス」(524戸)もほぼ完売している。が、駅から徒歩6分の阪急不動産の「ジオ流山」(110戸)は、共同事業者である地元の不動産会社が民事再生を申請したことで一時販売を中止したこともあり、再開後の動きはいま一つだ。
 

そこから「守谷」を除くと終点の「つくば」まで各駅停車駅になるが、いずれも駅周辺が造成地のままの所が多い。比較的に駅前の整備が進んでいる「みらい平」駅前には飯田産業の「センチュリーつくばみらい平」(660戸)がある。ここは快速が止まらないハンデを立地の優位性で補うべく、現地販売事務所では「駅から16メートル」と表現。実際、駅出口からコンコース伝いに1分という感じだ。価格も3LDKで2000万円を切る水準で、流山や守谷に比べて30~40%も安い。しかし、昨年4月の竣工にもかかわらず売れているのは「全戸のうち半分強」(現地販売所スタッフ)にすぎない。

その先の「万博記念公園」などは駅前が未開発のため厳しさがにじみ出る。万博記念公園駅前には商業施設がまったくなく、あるのは駐車場、美容院、そして不動産屋くらい。同駅では現在、プロパスト、ジョイントコーポレーション、山万の3社が駅前にマンションを開発中だが、どの物件も苦戦中だ。

郊外型大規模開発案件は埼玉や千葉でも苦戦している。たとえば、さいたま市桜区に今年2月に竣工した「サクラディア」も812戸という大型物件。JR京浜東北線の浦和駅からバス便で14分もあるため、価格政策いかんでは、販売期間の長期化が予想される。

もっとも、立地や価格の点で魅力が乏しい場合、販売を先延ばしたとしても売れる見込みは薄い。購買層のほうも買い急いでいるわけではない。銀行が完成在庫の有無を融資の条件にしていることもあり、「オフィス賃貸で稼げる大手不動産以外のマンション業者は金融機関と顧客の”板挟み”にあっている状態だ」(久光龍彦トータルブレイン社長)。

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