「今、ドナルドは私がこの討論のために準備したことを批判したわね。ええ、準備はしましたよ。他にどんなことに準備したかわかる?私は大統領になる準備をしました」と言ってのけたのだ。トランプはクリントンによって用意されたありとあらゆる罠に自らかかっていった。
結局、コミュニケーションの成否はこれに尽きるが、トランプは明らかに準備不足だった。日本の多くの経営者にも言えることだが、自分は巧いと思う人ほど準備も練習もしない。海外メディアの報道によれば、陣営のアドバイスには従わず、リハーサルも何もすることもなくこの場に及んだとされる。
準備と練習を重ねた者が勝つ
一方で、クリントンは長時間の準備と練習を重ねており、その成果は明らかだった。今回、一つ分かったのは、トランプは、自分の主張を一方的に展開することは得意だが、相手の主張に対し、ロジカルに反駁する1対1の討論は実に不得意だということだ。
相手の主張を覆すだけの正確な情報もロジックも持ち合わせていないし、マルチイシューを複合的、多層的に論じることができない。だから、常にシングルイシューに絞り、小学生レベルの言葉で、がなり立て、相手を圧倒しようとする。学校にいるいじめっ子と同じ、と言われるゆえんだ。
というわけで今回の討論はヒラリー・クリントンの圧勝という結果に終わった。テレビ討論はあと2回行われるが、トランプはこの失敗を教訓にできるのだろうか。ますます目が離せない。
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