乱立する「インフルエンサー代理業」の正体

契約をめぐる不透明な関係が露呈しつつある

いまのご時世、インフルエンサーになりたくない人などいないって、ホント!?(写真: Fast&Slow / PIXTA)

インフルエンサーの代理業を行うエージェンシー、セレクト・マネジメントグループの共同経営者であるスコット・フィッシャー氏にとって、あるブランドのクライアントが最近メールで知らせてきた内容は、寝耳に水だった。セレクトに所属する大物インフルエンサーのひとりが、インフルエンサーマーケティング技術プラットフォーム3社のプレゼン資料に記載されているというのだ。

「インフルエンサー技術プラットフォームが『利用可能な人物』として、当社のタレントを宣伝に使っている事例が数多く見つかった。だが、それは誤解を招くフレーズだ。彼らは当社と事業契約を結んでいないのだから」と、フィッシャー氏は語る。「我々は、当社のインフルエンサーを削除するよう彼らに要請した」。

ベンダー乱立の問題点

この記事はデジタルマーケティング戦略に特化したメディア「DIGIDAY[日本版]」(運営:メディアジーン)の提供記事です

インフルエンサーマーケティングの市場は、今後5年で50億~100億ドル規模に成長すると見込まれている。インフルエンサーに対するブランド側の需要増に応えるべく、プラットフォームのベンダーがにわかに乱立し、広告主がクリック数回でソーシャル界のスターたちと接続できる技術を売り込んでいる。

たとえば、そうしたベンダーの1社であるネオリーチは、同社サービスを利用すればインフルエンサー300万人以上を検索できると主張している。しかしこれらの企業は、インフルエンサーとの関係性の実態を誇張している可能性がある。というのも、そうしたインフルエンサーの大半に対して、ベンダーは非独占契約で緩やかに代理人業務を務めているだけだからだ。

「この業界では、ほとんど誰も独占契約を結んでいない」と、インフルエンサーマーケティング企業のコレクティブ・バイアスでマーケティング・コンテンツ部門シニアバイスプレジデントを務めるホリー・パブリカ氏は明かす。「一部の企業は何百万人ものインフルエンサーを抱えていると言うが、その大半は活発ではない」。

パブリカ氏の会社は現在、約8000人のインフルエンサーたちと契約し、「需要と供給のバランスをとっている」という。彼女のチームは、おもに紹介を通してインフルエンサーたちを募集しているが、つねに順番待ちの状態だ(いまのご時世、インフルエンサーになりたくない人などいるだろうか?)。パブリカ氏がタレントエージェンシーと仕事をすることはめったにない。タレントエージェンシーには、大きな分け前をとる傾向があるからだ(ただし、クライアントが求める特定のインフルエンサーが、エージェンシーと独占契約している場合は仕方がない)。コレクティブ・バイアスは、フォロワー数が10万人以下のインフルエンサーに焦点を合わせている。

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