広告で「地震に弱い物件」を見分ける方法 耐震性、雨漏りリスクも広告からわかる!

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

マンションの場合に参考にできるのは、管理費や修繕積立金だ。
下の物件は、管理費が1万0620円、修繕積立金が1万2500円と、このクラスのマンションとしては標準的な値段である。一方、上の物件は管理費が3440円、修繕積立金が2870円と、破格の設定になっている。

このように、管理費や修繕積立金の著しく安い物件には気をつけなければならない。なぜならば、管理費や修繕積立金が安い物件は、当たり前だがきちんと管理・修繕されていないケースが多いのだ。

国土交通省の調査によると、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立額を設定している分譲マンションは、わずか37%しかないといわれている。また、かならず訪れる修繕工事にあたり、修繕積立金では足りずに、一時金などの徴収が必要になったマンションは、約21%もあるというデータもある。こういった物件には、十分注意しなければならない。

なお、管理会社に依頼せず、自主管理を行っている物件も、監理が行き届いていない可能性が高く、オススメできない。
今回は、不動産広告に潜む「危険」について解説してきた。勉強せずに住宅購入を検討するのがどれだけ危ないことか、わかっていただけたのではないだろうか。

連載第3回では、広告に書いていない「諸経費」について解説したいと思う。読者には、広告に記載されている「ほんの一言」が数十万円・数百万円の違いを生み出す怖さを、ぜひ知っていただきたい。

高橋 正典 不動産コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかはし まさのり

株式会社バイヤーズスタイル代表取締役。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング技能登録者。

1970年東京生まれ。従来の日本の不動産業界の慣習を変え、より顧客に寄り添う「エージェント(代理人)ビジネス」にシフトさせるべく、株式会社バイヤーズスタイルを設立。顧客の物件の資産価値向上のため、業界で初めてすべての取扱い物件に「住宅履歴書」を導入。一般的に売りづらいとされる築年数の古い中古住宅の売買に精通し、顧客から厚い信頼を得ている。

さらに、一つひとつの中古住宅(建物)を正しく評価し、流通させるため「売却の窓口R」を運営し、その加盟店は全国に広がっている。不動産流通の現場を最も知る不動産コンサルタントとして、各種メディア・媒体等においての寄稿やコラム等多数。一方で、一般社団法人相続支援士協会の理事を務めており、相続問題を始めとする家族の諸問題に造詣が深い。自身も30歳で二世帯住宅を建て、その後父親を看取った経験から、後悔のない親とのかかわり方を提唱している。著書に『実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと』(かんき出版)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT