ドル円は98円台に突入する可能性がある 臨時国会で内需拡大策が打ち出されるか

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日銀会合の結果発表以降、日経VIが急低下している。この動きは7月29日の日銀会合後とほぼ同じだ。先行き不透明感の後退、つまりリスクプレミアムの低下が東京市場では起こっている。

本来であれば、ボラティリティ(変動率)低下は相場の安定と見なされ長期の運用資金が流入する可能性が高まるのだが、今回同様、日経VIが低下した8月は、そのような動きは見られなかった。ボラティリティ低下を好むロングの外国人投資家は、金融政策ありきの日本株に辟易していると考える。
上にも下にも動かなくなった東京市場はまさに低体温相場と言えよう。

外国人投資家は何を見ているのか?

では、外国人投資家は何を見ているのだろうか?ルー米財務長官が年初から声高に指摘していることは「日本の内需拡大」だ。

つまり金融政策ではなく政府による経済政策だろう。とりわけ規制緩和などへの積極的な動きだと考える。黒田日銀総裁は記者会見で「2013年1月の共同声明」に関するコメントを発していた。

今回の日銀プレスリリースにもこの内容の記載があるが、記載されたのは今年初めてのことだ。「総括」だからと言われればそれまでだが、日銀からすると「市場との対話でマイナス金利の深掘りは回避した。日経平均偏重型のETF買い入れの枠組みも変えた。さぁ、次は政府の出番だ」といった意味合いがあるのかもれない。

週明けの9月26日から秋の臨時国会が開催される。第2次補正予算案やTPP(環太平洋戦略経済連携協定)承認案などの成立を目指す予定だ。まずは、日銀から渡されたバトンを政府がうまく受け継ぐことができるかを見極めたい。
 

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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