ドル円は98円台に突入する可能性がある 臨時国会で内需拡大策が打ち出されるか

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一方、日銀のETF(上場投資信託)買い入れ枠の変更にも注目したい。買い入れ枠は年間6兆円だが、0.3兆円は「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を対象としている。

今回、日銀は2.7兆円をTOPIX型のみを対象とし、残り3.0兆円を従来通り(日経平均型、TOPIX型、JPX日経400型)とする枠組みに変更した。見直しは10月以降となるが、市場では、この変更によって、TOPIX型の買い入れ比率が従来の42%から70%ほどに上昇すると試算されている。一方、日経平均型は同54%から28%に、JPX日経400型は同4%から2%にそれぞれ低下するとの見込みだ。

日銀側は「時価総額に概ね比例するように設定」としていることから、時価総額の大きい銘柄には買い需要が発生することとなる。この文言を見る限り、浮動株比率を考慮していないので、実際のTOPIXの組入れ上位銘柄とは微妙に異なるが、TOPIXコア30銘柄などが対象銘柄となろう。また、時価総額が大きいわりには日々の売買が少ない(流動性の低い)銘柄も、恩恵を享受しそうだ。

円高ドル安が進行、98円台に突入する可能性も

ここまでは、市場にポジティブな影響を与えそうな内容を見てきたが、気になるのは円高ドル安の進行だ。

日本時間の22日未明、米連邦準備理事会(FRB)が追加の利上げ先送りと、2017-18年の金利見通し引き下げを発表しているが、その前からドル円は円高ドル安に推移していた。

これは、今回の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が、実質的なテーパリング(緩和縮小)と捉えられたことが要因だと考える。政策のポイントが長短金利に移行したことから、金利の水準によっては国債の買入ペース及びマネタリーベースの拡大ペースはこれまでよりも鈍化する可能性が浮上。黒田日銀総裁も記者会見で「操作目標は量ではなく、経済情勢に柔軟に対応」とコメントしたことから、日本のテーパリングが強く意識される格好となった。

ドル円は75日移動平均線に頭をおさえられたトレンドが継続しており、100円割れの段階でもし仕掛け的な売買が入ると、6月24日の99円02銭も一気に下抜ける展開も視野に入ってきそうだ。

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