米経済に先行き不安、QE3年内縮小派に障害 3月FOMCは「QE3年内縮小論」優勢だが、直近指標は弱含み

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縮小

無論、これらの議論はあくまで「参加者」によるものであり、QE3の今後を占う上で重視すべきは、上記3)の「委員による政策ディスカッション」だ。しかし3)のパートでもサプライズが続いた。FOMCの政策決定に大きな力を持つバーナンキFRB議長、イエレン副議長、ダドレー・ニューヨーク連銀総裁という3名の“FOMC指導部”が、3月会合において「QE3の2013年終盤の縮小」という見方を支持していたようなのだ。

 消えかかる「年末まで現行維持」支持派

「委員による政策ディスカッション」では、QE3をいつ縮小・停止するのかについて次のような見方が出たことが示されている。まず1人の委員が「今すぐ縮小」という見方を表明した。これは政策決定に反対票を投じたジョージ・カンザスシティ連銀総裁とみて間違いない。次に複数の委員(a few members)が「2013年央に縮小し、同年終盤には停止」という見方を示した。さらに他の数名の委員(several others)が「2013年終盤に縮小し、同年末には停止」との意見を述べている。最後に2人の委員が「少なくとも年内は現行維持」と主張した。

3月会合当時、委員の中でもハト派色が強かったとみられるのは、イエレン副議長、エバンス・シカゴ連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁の3人である。「資産買い入れは現在のペースで年末まで継続する」(エバンス総裁、3月27日のロイター報道)、「経済情勢次第では購入額を増減させる必要があるかも知れないが、年内は資産購入を続けるべき」(ローゼングレン総裁、3月27日の講演)といった発言を踏まえると、議事録で「少なくとも年内は現行維持」と主張した2人組は、エバンスとローゼングレンの両総裁だった蓋然性が高い。

もしこうした数合わせが正しければ、バーナンキ、イエレン、ダドレーらFOMC指導部は、3月会合で「2013年終盤」のQE3縮小を支持する「他の数名の委員(several others)」に属したことになる。

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