「為替90円台、日経平均1万4000円」の現実味

株価下落を嫌った日米中央銀行が払う「ツケ」

日銀の政策が上手くいくためには、実は、資金需要が旺盛であることが不可欠なのだが、その資金需要がマイナス金利下においてさえもないのだから、このような政策が「うまく機能する」との発想にはならない。マイナス金利などはむしろデフレを進行させる可能性もあり、日銀は逆のことをやっているようにも思われる。

むしろ、量的緩和やETFの買入れを止め、市場に任せた方がよいのではないかとさえ感じる。どうやら、日銀は市場をいじりすぎたようだ。もうこれ以上、市場に手を加えないほうが良いのではないだろうか。黒田総裁の発言を聞いていて感じることは、日銀の政策は完全に正しく、市場が理解していないので、理解して反応してほしいというように聞こえることである。

しかし、残念ながら、市場は騙されない。記者会見が始まるとともに、それまで102円台後半だったドル円は、瞬く間に102円前半にまで下落し、会見終了時には101円台半ばにまで下落した。会見のわずか1時間で1円も円高が進んだことが、今回の政策に対する市場の評価である。そして、21日の米国市場では100円割れ目前にまで下落した。この結果を見れば、これ以上論評を評価する必要はないだろう。

またしても株価下落を嫌がったFRB

一方、21日のFOMCは利上げを見送った。市場の予想通りだったが、一方でこれまでFRB関係者は市場に利上げを織り込ませようと腐心してきたのは何だったのだろうかと感じさせる決定だった。イエレンFRB議長を含め、市場の不安定さを嫌気したことは明白だろう。

今回のFOMCでは、政策金利(現行0.25〜0.5%)の据え置きを決定した。声明では「利上げの根拠は強まっているが、当面の間、物価と雇用の目標達成に向けた進展を示すさらなる証拠を待つことを決めた」とし、年内の利上げ実施に意欲を示したように見える。

景気見通しに対する短期的なリスクについては「おおむね均衡している」とし、海外の下振れリスクなどの懸念がほぼ払しょくされているとの認識を示した。米国経済については「今年前半の緩慢なペースから加速した」と指摘。雇用に関しては「労働市場は強化され、雇用の伸びは平均して堅調だ」とした。

また物価は短期的に低インフレが続くが、中期的には上昇率が目標の2%に達するとの見通しを維持した。さらに家計支出は「力強く拡大している」とする一方、企業の設備投資は「依然弱い」と懸念を示した。利上げ見送りは昨年12月の利上げ以降、6会合連続。決定には7人が賛成し、地区連銀総裁3人が利上げを主張して反対した。これはきわめて異例である。

決定に反対したのは、カンザスシティー連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁。いずれも主要政策金利を0.25%引き上げ、0.5〜0.75%とするよう主張した。前回はジョージ総裁のみ反対していた。今回示された将来の利上げ見通しは、年内は12月の1回だが、早く利上げしたいというのが本音であろう。いかにFRBが株価下落を嫌がっているか、である。

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