日銀は「金利」政策に移行で、追加緩和遠のく BNPパリバ・河野氏が"日銀の動き方"を解説

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黒田総裁は決して「量の積み上げは効果が薄かった」とは言いませんが・・・(撮影:今井康一)
日本銀行は「総括的検証」に基づき、これまでとは枠組みを変え、「量」から「金利」へとターゲットを変える一方、追加緩和は見送った。日銀ウォッチャーで、かねて、日銀が政策を長期金利ターゲットへ移行させることを想定していたBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストに話を聞いた。

 

――日銀の金融政策は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と名称がますます長くなりましたが、河野さんが予想されていたとおり、長期金利ターゲットが導入されました。

量的ターゲットは“柔軟化”という形で事実上棚上げされた格好だ。銀行の超過準備預金を対象としたマイナス金利政策に加え、イールドカーブ(利回り曲線)の形状をコントロールするため、長期金利ターゲットが導入された。今後は、長期金利が誘導目標で推移するように調節が行われる。長期国債の購入量については現行の80兆円がメドとされているものの、結果的にそれほど購入されない可能性がある。

日銀が金利カーブをコントロール

――黒田総裁はかねて、マイナス金利政策の副作用としてイールドカーブがブル・フラット化(金利の低下を伴いつつ長短金利差が縮小)したことが短期調達・長期運用を行う金融機関の収益を圧迫する懸念があるとしていました。

今回の枠組み変更の背景には、量的ターゲットが事実上限界に近づいていたということがあった。同時に、金融機関の収益に配慮してイールドカーブが過度にブル・フラットニング化することを避けたいということもあった。

日銀としては、「金融機関の収益に配慮して、金利ターゲットに移行する結果、量が柔軟化した」というロジックを使うことで、量的緩和が限界だということを認めなくて済むような形にした。日銀は、必要とあらば、国債の購入額を増やしてマネタリーベースの拡大ペースを加速させることも可能だとしているが、これは抜かずの宝刀となるだろう。

――金利ターゲットはどのように運用されるのでしょうか。

今後はマイナス金利政策が主軸になるが、マイナス金利の深掘り(金利のマイナス幅の拡大)を行う際に、10年金利や20年金利に対して誘導目標を設け、市場の動きを見ながら購入量や購入対象年限を調節していく。

今回、10年金利についてゼロ程度が目標とされた。たとえば10年金利がこれよりも大きく下がった場合(債券価格が上昇)には、長期債券の購入量を減らし、何らかのショックによって長期金利が跳ね上がった場合(債券価格は下落)は長期債券の購入量を増やすことになる。

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