キプロスの次、と噂されるスロベニア 景気・経済観測(欧州)

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だが、世界的な金融危機や欧州債務危機の余波を受け、西欧諸国向けの輸出依存度が高い同国は深刻な景気後退に陥った。さらに、EU加盟とユーロ導入で大量に流入した対外資本が不動産開発に向かい、その一部がバブル化した。その後の景気後退で不動産市況が悪化に転じ、最大手の建設業者を始め多くの企業が破綻に追い込まれた。ずさんな融資を続けてきた国有銀行による巨額の不良債権も表面化し、危機発生以降、スロベニアからの資金流出が加速している。

キプロス同様に銀行問題を抱えている

スロベニアの銀行資産は同国の国内総生産(GDP)の1.4倍程度。GDPの7倍超に及ぶキプロスやアイルランドの様に銀行部門が肥大化していたわけではない(図表1)。問題視されているのは銀行の不良債権の多さだ。同国の融資総額に占める不良債権比率は2012年6月時点で13.2%に達する。大手の国有銀行の不良債権比率は25%超に達すると言われている。

問題銀行の筆頭格とされるノバ・クレジトナ・バンカ・マリボールは、昨年10月に欧州が実施した銀行資産査定(ストレステスト)のフォローアップ調査において、ストレスシナリオの下で資本不足に陥ると認定された4行のうちの1行だ。他に不合格となった3行には、キプロス救済で再生・破綻処理が決まったライキ銀行とキプロス銀行、巨額の損失隠しが明るみとなったイタリアのモンテ・パスキ銀行の名前が並ぶ。

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