若手を奮起させたカープ新井の「刺さる言葉」 25年ぶりVはこうして成し遂げられた

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その意味で現在のカープには、若手選手が自らベテラン選手に助言を求めるという雰囲気がある。投手陣の大きな支えには、メジャーリーグで大活躍し、ともに昨シーズンからカープに復帰した黒田博樹がおり、打撃陣の支柱としての新井と双璧をなす。決して押しつけるのではなく、うまく若手選手が自分で成長できる環境をベテランが作っている。

若手にアドバイスを求められたときに、しっかりピンポイントで答えることが大切だと新井は感じている。

また、ただ受け身で若手が相談しに来るのを待っているだけではない。カープというチームの伝統については積極的に若手選手たちに語り継いでいくという姿勢をとっている。

最近入団した選手にとって、長期間のカープの低迷は自身の実感としてはない。ベテランの新井からすれば「カープの今の恵まれた環境で野球ができるのも、先輩たちの努力があってのこと」。ゆえに「そういう気持ちを若い選手たちには持ってもらいたい。そのためにも、昔のことを語り継いでいくことは、これから入ってくる選手のためにも、重要なこと」と強い思いを持っている。技術面だけではなく、こうしてチームの伝統をつないでいく姿勢に、若手選手たちもベテラン選手への信頼を強くしていくのである。

ベテランだからと壁は作らせない

新井のアドバイスが若手選手たちに浸透するのは、双方のコミュニケーションがとても円滑にとられていることも大きい。新井が先輩選手たちから「イジられキャラ」として愛されていることは有名だが、後輩の若手選手たちからも、いい意味で「イジられ」ていることも彼の人柄をよく表している。

広島カープに復帰した後、合同自主トレの場で、多くの若手選手たちを前にして挨拶した際には第一声で、「バッティングのことはわからないですが、守備のことだったら何でも聞いてください」と冗談を放った。

「ほかの選手たちと早く打ち解けたかった。自分を知らない若い選手もたくさんいたし、その選手たちが〈新井さんって、どんな人だろう?〉と思っているときに、変にハードルを上げて、垣根のようなものを作りたくなかった」と新井は語る。

プロ18年目のベテランとなっても、自分のまわりに壁をつくらず、つくらせない姿勢は、実際に若手選手たちの心をつかんだ。年齢が一回り以上年下の菊池涼介や丸佳浩といった選手たちが新井に尊敬と親しみを感じ、そのもとに集まってくる。黒田博樹とともに上の世代がつくる和やかな雰囲気がチーム全体の雰囲気を良くしているのである。

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