8年前のような「大暴落」を否定できない理由 緩和傾向だった金融政策の限界が見えてきた
1929年の世界恐慌から8年後の1937年に米国株はピークを付け、利上げにより年初来で38%もの暴落に見舞われ、株価水準の回復に8年を要した。2000年にはITバブルが発生したが、その8年後にリーマンショックが発生した。その当時も年初来で38%もの下落となった。そして、その8年後が今年である。1937年と2008年、2016年の共通点がある。それは、年初の取引日の下落率がともに大きかったことである。
1937年と2008年は1.4%超の下落、2016年は1.5%の下落となっている。2016年も1937年や2008年と同様に、年初来からの下落が38%になれば、ダウ平均株価は1万1000ドルまで下落することになる。これらはあくまで数値上の話であり、机上の空論かもしれない。しかし、これだけ日柄や下落率が似ていることもそうないだろう。さらに言えば、今年は米大統領選の年である。
米国株が無傷で高値を更新するとは思えない
報道によると、民主党候補のクリントン氏の体調不良問題が浮上しているようである。これをきっかけに、共和党候補のトランプ氏が優勢となり、11月8日の選挙で勝利を収めるようなことになれば、現職大統領所属の政党から出馬する候補が負けることになり、この過去の傾向にのっとれば、米国株の大暴落は不可避となろう。現在の米国株は投資家の流入によって支えられているだけでなく、過去との比較において相当割高になっている。これだけの材料がそろう中で、年末まで米国株が無傷で高値を更新すれば、むしろ驚きである。
これらから世界の金融市場に真の意味での大きな問題が発生するのだろう。その場合には、日本株だけが難を逃れることはできない。ちなみに、リーマンショック時には、日本株も大暴落となり、日経平均株価は9月12日の1万2214円から10月28日には一時7000円割れとなるなど、1982年10月以来、26年ぶりの安値を記録するに至った。このように、約4割の下げが起きるのが金融危機の特徴である。
今年のダウ平均に当てはめると、前述のように1万1000ドルまで下落する可能性があることになる。海外では「秋口に株安が来る」とする向きも少なくないが、国内勢で本当に危機が来ると考えている向きは少数派である。いよいよ来週はFOMCと日銀金融政策決定会合である。これがトリガーになり、株安・円高に進むのか、それとも市場が延命策を評価するのか。まずは来週の市場動向を見極めることにしたい。
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