デンソーが今、カーナビ会社を買う真の理由 自動運転に富士通テンはどう絡んでくるのか
赤字会社を買うデンソーの狙いは、収益というより、自動運転技術の開発力の強化だ。
富士通テンはカーナビ大手で、売上高の約6割を自動車メーカー向けのカーナビが占める。そのほか、エンジン制御ECUなどの電子制御機器、自動ブレーキなどに使われるミリ波レーダー、市販用カーナビ、ドライブレコーダーなどを手掛けており、ソフトに強い技術者が多い。
ミリ波レーダーはともかく、主力のカーナビがどこまで自動運転関連かは微妙なところだが、自動運転時代に重要性が増すと考えられている、車内インフォテイメント(情報と娯楽の融合)や、自動と手動の切り替え時におけるドライバーとのインターフェースなど、将来的にカーナビの技術は自動運転に応用できる。
自前主義にはこだわらない
デンソーは今年1月、自動運転技術の強化を狙って、「ADAS推進部」を設置。社内に点在していた自動運転関連で、特にソフトの技術者を一カ所に集めた。まず130人でスタートし、2~3年間で200人規模に拡大する方針を打ち出している。有能な人材を集めるため、東京支社の移転拡充や渋谷のITラボを増員してきたが、まだまだ足りないのが現実だ。
その意味で、トヨタと同じく自前主義が強かったデンソーだが、外部との連携にも舵を切り始めている。
2015年6月にデンソーの有馬浩二社長は、「自前でできない技術はたくさんあり、そういうところでは積極的に協業していきたい」と語っていた。言葉通りにこの1年間、画像処理ベンチャーへの出資や、合弁でのソフト開発会社を設立してきた。
では、これを機にデンソーがM&Aによる拡大路線を一気に歩むかというと、それは違う。
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