なぜ人類は地球を支配する存在になったのか すべては7万年前に始まった!
もうひとつの大きなターニングポイントは科学革命だ。それまでの社会を支えていた宗教と言う虚構は、古代の聖人や預言者は全ての事を知っているという仮定の下に成立していた。
コーランや聖書を紐解けばそこに答えがあり、それ以外の考えを持つ事は神の教えに逆らうことなのだと弾劾された。しかし、科学革命はそのような神話を否定し「私たちは世界の事を何も知らない」と認めることで成立した。むろん科学も神話と完全に断行できたわけではない。だが私たちは新たな力を手にする。本書ではなぜ、無知を認め科学革命を起こすことになったのが、中国人やアラブ人ではなくヨーロッパ人であったのかという点も深く考察されている。
近年の科学の発展は目覚しい
近年の科学の発展は目覚しいものがある。最近ではネアンデルタール人を復活させようという動きがあるという。また遺伝子操作により「非死」の人間をも生み出す研究がなされている。またDNA操作により今までに存在する事のなかった種を私たちは生み出している。
それだけでなくDNA操作により、人類の「第二の認知革命」が起こる可能性すらあるというのだ。そうなれば将来の人類は今の人類とは全く別の存在になると言っても過言ではない。虚構という力で文化を形成し発展してきた私たちは、無知を認めることで新たな力を手にした。そして、その力は生物すらも自由に改良する事ができる。これは虚構の存在である「神」に人類が限りなく近づきつつあるということだ。この力は人類をさらに発展させるかもしれない。
だがそれがすぐに個々人の幸福に結びつくかはどうかはわからない。農業革命がすぐに個人の幸福に直結しなかったように。
私たちが生み出した文明の発展と構造を見事なまでにわかりやすく解説している本書は、間違いなく今年読むべき一冊だ。
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