JRの新車両はここが違う! 私が感じたデザイン、乗り心地の違い

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では、内装はどうかというと、「普通車シート頭部のヘッドレストの拡大により、パーソナル感を向上させ、さらに快適性がアップ」(同社発表資料より)したそうです。また、車内照明電力を削減した分、シートの色を明るめに変えたことで車内の照度を維持しています。ヘッドレストが拡大したりシート色が変化したのであれば、違いを認識できそう。だが、これが甘かった。

営業運転開始から程ない2月12日朝、私は品川から名古屋に向かう新幹線に乗車しました。車内はビジネス客でほぼ満員。パソコンで仕事をする客、新聞や雑誌を読む客。いつもの新幹線とまったく変わらない光景でした。私も席に着くやいなや、名古屋に着くまでずっと仕事をしていました。時折、ぼんやりと車内を見渡しながら、「これがN700Aだったら車内は明るいのかなあ、逆に暗いのかなあ」と思ったりしていました。

名古屋駅に到着すると、ホームで何人かの人が私が乗っていた車両を写真に撮っていました。何事かと振り向くと、そこに大きなAのロゴが。私は自分が乗っていた新幹線がN700Aだということに下車するまで気づかなかったのです。

最初は自分のうかつさを反省したのですが、ふと、車内にいた乗客たちもN700Aだということに関心を持っていなかったことに気づきました。東海道新幹線の乗客の多くはビジネス客。仕事、読書、あるいは睡眠。乗客が思い思いに過ごしてもらうために、ストイックなまでに車両の個性を消しているのかもしれません。

個人的にはJR九州の新幹線のように個性的な車両が大好きなのですが、あえて個性を出さないN700Aのストイックさも好きになってしまいました。でも、ラインを赤く塗ったN700Aが1編成だけでも走れば、大ニュースになると思うんです。JR東海さん、検討してみませんか。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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