キヤノン、タイ工場のいま 大洪水から1年半、現地トップを直撃

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いかにミスを減らすかがポイントに

――タイでは今年1月に一日の最低賃金が300バーツと定められるなど、人件費が上昇しています。(注:アユタヤ地域の最低賃金は11年1月に180バーツ、12年4月に265バーツとなり、13年1月から全国一律で最低賃金が300バーツと定められた)

どこの国であれ労賃があがればコストに反映されます。工場の人員は多くが最低賃金水準ですので、コスト面では大きな影響です。生産効率を上げていくために、人の作業をいかに効率化させるか、ミスを減らすかということは常に考えています。そのために、一部作業の自動化や、効率的な作業に役立つ道具を導入するなど、工夫しています。

――タイで生産するメリットは?

ハイテク工場は20年間一貫してIJPの生産を継続している工場です。人の熟練度もありますし、IJPの生産に関しては高い技術が培われています。

一般向けのIJPは低価格化が進んでいます。そのなかで、安いコストでタイミングのいい生産をどのように行うか。それを20年間やっている強みがあります。

――タイ工場は、今後どのような姿を目指していますか。

単なる生産工場ではなく、技術発信ができる工場にしていきたいと考えています。日本国内ではすでにIJPの生産はしておらず、生産はタイとベトナムで行っています。その点ではタイが生産技術の発信地でもあるのです。

もし、新しくIJP工場がタイ以外の地域にできたとして、生産技術の支援をどこがやるか。これは日本ではなく、タイになるでしょう。特に組み立てについては、日本人ではなくタイ人がやっているのです。ラチャシマに新工場ができたときも、ハイテク工場の熟練した従業員が生産技術を伝えました。このような人づくりを継続してやっていかなくてはいけないと考えています。

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