ユニクロを”投資家目線”で分析してみた 株価上昇はいつまで続く?

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社会にとって良い企業であり続ける

そして続いて出てくるのが、“社会にとって良い企業であり続ける”というメッセージと共にアフリカの子供たちの笑顔だ。これはさすがに白々しい。予算のいくらがこの手の社会事業に使われているのか知らないが、ブランドイメージを高めるためにアフリカの子供などに寄付するのは多くの企業がやっていることで、かつ受益者もいるのだ。文句までは言わないが、それにしてもコテコテの、昔の24時間テレビを彷彿とさせる雰囲気である。

余談になるが、私は昔の24時間テレビのほうが、今の下り坂の芸能人を無理やり時間どおりに走らせ、みんなで“負けないで“を大合唱する今の24時間テレビよりよっぽどマシだと思っている。少なくとも世界の貧困問題に瞬間風速ながらも関心を呼び起こさせるいい機会だったが、今や“家族の絆”とか“友情”とか半径3メートルのこぢんまりとしたことばかりを偽善特集して、最後は感動を強要するマラソンで締めくくるのはむずがゆい。

制作予算を削るために、芸能人一人を走らせて視聴率を稼げるのだから、投資対効果的にはおいしいコンテンツなのかもしれないが、愛で地球を救いたいなら大田区を走ってるお笑い芸人ではなく、シリアなどで本当に助けを必要としている人にカメラを向けてほしいものである。

太っちょコラムニストよ、今回も何を脱線しまくっているのだ、というお叱りの声が聞こえてきそうである。そこで本来の趣旨に戻り、ユニクロのアニュアルレポートを読み進める旅路に皆様と一緒に戻ろう。アニュアルレポートの本編で財務の数字が出てくる前に、海外店舗のフラッグシップ店舗の写真がどーんと出てきて、“日本発の新しいグローバル企業になる”と続く。

要するに、「良い服で世界を変え、社員を育ててグローバルに働く機会を提供し、社会問題解決に貢献し、グローバル企業を目指す」とわかりやすく要約されている。うーん、本当にわかりやすく、悪くない。むしろコーポレートアイデンティティのお手本としてマネジメントの教科書に登場させたいくらいだ。2点目の「人を育てる」と3点目の「社会問題解決に貢献し」は取ってつけたような大変白々しい印象があるが、良い服で世界を変え、グローバル企業を目指す、の2点に関しては立派に実現されている。

さて、次回コラムでは続いて、ユニクロの財務情報をめぐる旅行に旅立ちたい。いつまで引っ張るんだよ、とのお叱りの声を受けそうである。しかし、親愛なる読者の皆様が“いいね!”を押してくださるかぎり、私は24時間テレビのマラソンランナー並みに、ユニクロネタでひたすら走り続けることだろう。

(次回コラムは、今回のユニクロ特集もある程度の人気があったときのみ、続編が投稿されます)

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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