ムダな病院代は「遠隔医療相談」で節約できる

真に必要な患者に「医療資源」を集中すべきだ

遠隔医療はその名の通り、病院に行かなくても医師と話ができる大変便利なものだが、画像診断など一部を除き、原則として遠隔のみで診療を完結することは違法となる。医師法では、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し…(中略)…てはならない」(20条)と規定されており、遠隔診療はあくまで「対面診療を補完」するものであることが原則となっているからだ。

現状の遠隔医療サービスは、初診を対面にし、再診から遠隔で運用する手法が多い。一方、first callが提供する「遠隔医療相談」 は、あくまで医師が病院に行くべきかどうかなどのアドバイスを行うにとどまる。疾病に対して一応の診断を下す遠隔診療と異なり、医療行為ではないため法律的な問題は生じない。

では、どの領域が、遠隔医療相談に対する親和性が高いのか。まず筆頭にあげられるのが、小児科だ。大人の場合、風邪を引いた場合、病院にすぐに行くべきなのか、いったん様子を見るか、自分で判断することができるが、子どもの場合、話は違う。小児の場合、結果として軽症でも救急搬送されるケースが77%と約8割に達しており、成人の救急搬送と比べて実に1.6倍も多い(平成24年 厚労省「小児救急医療体制の現状」)。

「コンビニ受診」の抑制になる

子どもは、自分自身で体の状態を説明することはできないため、親の立場であれば、自分のこと以上に不安を抱いてしまうのだ。こうした現象は、24時間営業のコンビニエンスストアを利用する感覚で医師の診察を受けることから、「コンビニ受診」と呼ばれ、問題になっている。

first callでは、子どものちょっとした症状への不安など、母親から子育てに関する相談が実際に寄せられており、問題の解決に役立った事例として、次のようなものがある。0歳6ヶ月の女の子をもつ母親から、first callに『朝や昼は大丈夫ですが、夕方になると40度近くまで熱が出ます。食欲はありますが、ぐったりしており坐薬を使ってもなかなか熱が下がりません。このまま様子を見た方が良いでしょうか?』という相談が来た。これに対して、医師は次のように回答した。

パソコンの画面を通して、医師と対話。残り時間も表示されていて、無駄のない相談が可能だ

「視線が合うか、泣き声が変ではないかなどをチェックし、呼吸の回数が多くなっていないか、いびきのような呼吸がないかなどの呼吸状態、唇が青くないか、四肢や体感がまだら状に紫になっていないかなどの血行状態も確認したところ、明らかな症状はありませんでした。水分も取れているようだったので、翌日の朝まで様子を見ても大丈夫であろうとお話し、もし今晩症状がさらに悪化するようであれば医療機関を受診するように促し、相談を終了しました」(「first call」を利用する医師)

乳幼児は体温調節がうまくできず、突発的に発熱することもよくある。しかし、医師との間でこのようなコミュニケーションがあったことで、患者が重症化する兆候がないことが把握でき、不要な受診を避けることができたのである。

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