首都直下地震が起きたらスマホは繋がるか? キャリア各社の対策を検証
KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)も然り。日を追うごとに通信の復旧は進んだが、全面復旧までに1カ月以上の月日を要した。首都圏直下型地震に見舞われた場合、同様の状況に追い込まれる可能性は小さくない。防災アドバイザーの高荷智也氏が話す。
「被災直後に100%の音声通話を確保することは困難。『119番』などの重要通信の確保が最優先となるためです。一般の音声通話は3.11時同様、繋がりにくい状況に陥ると考えられる」
とはいえ、その復旧スピードは3.11時と比較にならないほど向上している。今年4月の熊本地震発生時の携帯キャリア各社の動向を追ってみよう。
総務省がまとめた「停波基地局数の時間推移」を見ると、4月16日未明に起きた本震により、ソフトバンクでは250近い基地局が停波。ドコモ、KDDIはともに70~80基地局がサービス停止に追い込まれた。だが、通信規制がかかったのはごくわずかの間だった。ソフトバンクは「発生直後に音声通話に50%の規制をかけたが3時間で解除した」(災害対策部部長・木村潔氏)。KDDIも「音声通話が通常時の10~20倍に増加したことで通信規制をかけたが、数時間で解除」(特別通信対策室室長・木佐貫啓氏)。一方、ドコモは「発信規制をかけなかった」(池田氏)というのだ。
背景にあるのは、格段に向上した各社の災害対策だ。携帯キャリア3社合わせた移動電源車・可搬型発電機は、3.11時よりも2.7倍増加。予備バッテリーの24時間化が図られた基地局数は5.9倍にも増えた。3.11で停波の主たる原因となったバッテリー枯渇の対策として、こうしたハードがフル活用されたのだ。
気球・船も基地局に
熊本地震では各社とも3.11同様、伝送路の断絶に見舞われた。土砂災害で崩落した阿蘇大橋付近を伝送路が走っていたのだ。しかし、「太平洋と日本海の2ルートだった基幹伝送路をもう一本新設。本州の真ん中を通る中央ルートを増やしたことで、一本が断絶しても他の2本で継続できた」(池田氏)という。