米軍「対空ミサイル」が北朝鮮封じの最適解だ 日韓の核武装を阻み戦争リスクを抑えられる

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韓国では与党セヌリ党の一部が、核兵器の保有を公然と訴えている。彼らは、そうすれば北朝鮮からの攻撃を抑止できるとともに、中国が北朝鮮に対して兵器計画の後退を迫る圧力を強めると考えているのだ。

仮に韓国が核兵器を開発すれば、日本も開発に乗り出すだろう。尖閣諸島(中国名は釣魚島)に対して中国が強引に領有権を主張している現状からすれば、その可能性は高い。日本には分離プルトニウムの膨大な備蓄があり、技術的にも「実質上の核保有国」となるうえで必要な手段を備えており、核兵器が手元になくても、必要があれば迅速に開発できる。

とりわけ韓国による核兵器開発は、現実に新たな冷戦が始まるか、それよりも悪い結果を生む可能性がある。韓国と北朝鮮による核のにらみ合いが現実となれば、相手の反撃力を一掃するためにもう一方が先制攻撃を仕掛けようとする恐れが生じる。

こうした最悪のシナリオはさておき、核兵器は小規模な挑発を抑止するうえであまり役に立たない。2010年には米国による核攻撃の可能性があったにもかかわらず、北朝鮮が韓国の軍艦を撃沈するのを止められなかった。

トランプに惑わされず米国と連携を

また、日韓が核を保有すれば、両国の米国との関係は悪化するだけでなく、さらなる軍拡競争を誘発しかねない。すべての条件が同じだとすると、核保有国の数が多ければ多いほど、核戦争、核によるテロ、核関連事故のリスクは高まる。これは極めて危険なシナリオだ。

こうした事情を考慮すると、米韓のTHAAD配備は歓迎すべきといえる。日米韓の3カ国はミサイル防衛や北朝鮮に関する情報共有で連携することで、北朝鮮の核兵器計画を中断させるべきだ。

歴史を振り返れば、米国と連携すれば軍事攻撃の抑止効果は生じるといえる。日韓両国は自ら核開発に乗り出すことで米国との関係を悪化させてはならない。トランプ氏の発言に惑わされることはない。

週刊東洋経済9月3日号

リチャード・ワイツ ハドソン研究所上席研究員

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米ハドソン研究所の政治軍事分析センターの上席研究員であり主任。

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