夏のプールは「季節限定の満員電車」と考えよ 痴漢や盗撮マニアの「主戦場」となっている
若者グループやカップルだけでなくファミリー層も多く、プール施設にはなぜか健全なイメージがある。が、その実、楽しい思い出を作りに来ている人たちに紛れて、痴漢がターゲットを探してうろうろしているのだ。
「痴漢だけではありませんよ。盗撮マニアにとっても夏のプールは主戦場。最近はスマートフォンの普及により、気軽に盗撮できるようになっています。そのうえ、小児性犯罪者が子どもを狙っています。健全どころか、プールは性犯罪加害者にとってはパラダイスです。更生プログラムの中で加害者に犯行を行っていた場所を聴くと、『最初のころはプールでやっていた』という回答が少なくありません。
すれ違いざま水着の女の子にちょっと触る、というところから始まり、どんどんエスカレートしていく。つまり、プールという場は、痴漢行為に手を染めたばかりの人にとっても難易度が低いということです」(斉藤氏)
必要なのは「痴漢、許すまじ」の意識
サマーランドは以前からその対策として、「警備員の増員」「防犯カメラの設置」を行っていたようだが、「それが抑止となる場合もありますが、痴漢常習者のなかにはそうやってハードルが上がるほど達成したときの歓びが大きいため、かえって性的問題行動の亢進に拍車がかかりモチベーションが高まる人もいます」(斉藤氏)
斉藤氏が「満員電車」にたとえることから考えても、人口密度の高さが犯罪につながっていることは間違いない。とすると、「入場制限」の効果は決して小さくはないと期待できそうだ。
「そうして痴漢が起きにくい状況を作ることは当然大事ですが、同時に『プールは痴漢の温床』ということをもっと周知していく必要があります。女性だけでなく、男性も知っておいたほうがいいでしょう。もちろん、小さいお子さんをもつ親御さんも。周囲の目があるほど、痴漢はやりにくくなりますから」(斉藤氏)
水着だから、肌を見せているから多少は触られても仕方がない、ということは断じてない。これまでは施設も、それを利用する人もそう思っていたところがあり、そんな意識の甘さが今回の事件を招いたといっても過言ではないだろう。セキュリティの改善だけでなく、「痴漢、許すまじ」という社会の意識が夏のプールに安全をもたらすことを忘れてはならない。
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