アベノミクスの行方を占う3つのポイント 「期待」「賃金」「金利」に注目せよ
注目すべき3つのポイント
今後の日本経済を占っていくうえで、注目すべきポイントは三つある。
一つ目は人々の「期待」だ。政府の産業競争力会議のメンバーでもある慶応義塾大学の竹中平蔵教授は「安倍晋三首相は見事に期待の変化を作り上げた」と強調している。「物価が上がるのではないか」「今度こそ景気がよくなるのではないか」。理由はともあれ、円安のタイミングにも支えられ、アベノミクスが人々の期待を前向きに変えたことは事実だろう。
しかし、冷静に見ると、安倍政権のわずか数カ月間で、日本経済の実態が大きく変わったわけではないことはすぐにわかる。変わったのは、株価と為替レート、それに人々のマインドだ。これらはいずれも期待で動くもので、ちょっとしたきっかけで好転することもあれば、逆に暗転することもある。問題は、アベノミクスがうまく点火した、人々の期待を、どこまで持続させられるかだ。
2月の経済財政諮問会議に提出された資料によると、日本経済の成長やデフレ脱却への道筋について、安倍政権下図のように思い描いている。
だが、日本銀行の金融緩和によってインフレ期待を高めていく道筋一つを取っても、安倍政権が思い描くとおりに実現するのか、疑問が残る。慶応義塾大学の池尾和人教授は「金融政策の専門家の間では、(短期金利が0%に張り付く)ゼロ金利制約下では、金融緩和は効かないというのがむしろコンセンサス」と指摘している。
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