"大増税時代"の乗り切り方 賢い相続・贈与から、税務署対策まで

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特例は居住用宅地だけではない。事業用宅地は400㎡まで評価額を80%減、不動産貸付用では同じく200㎡まで50%減となる。これらの特例が適用されるかされないかでは、納める相続税額が大きく違ってくる。

もめるのは小口。兄弟間ほど収まりつかない

相続では、税務署への納税対策のほか、親族との“争族”対策もある。父が死亡し、母と兄弟が受け継ぐ「一次相続」はまだいい。だがその後、母が死亡、子ども同士の遺産分割となる「二次相続」がやっかいなのだ。

特に不動産は財産の中でも扱いが難しい。土地は現預金のように簡単には分けられないうえ、実際に家族が住んでいれば、売ることも難しい。売却する相手を見つけることも必要。「現金はないが実家だけはある」というのが最ももめるパターンだ。「相続でもめるのは、金持ちでなく普通の家」(ある税理士法人)なのもうなづける。

かつて家督制度があった時代は「家は長男が継ぐもの」とされていたが、戦後の民法では、兄弟はみな平等だ。しかも近年では、親は老人ホームなどに送って、介護を任せるケースも増え、「母の面倒を私が診たから自宅は私がもらう」とも言えなくなった。

遺族間がもめないためには、被相続人となる父または母が生前に、「遺言書」を書き遺しておくことだ。分割しづらい不動産が相続財産に含まれていた場合、「実家は長男にわたすから預金は長女に」などと付記しておけばいい。

「縁起でもない」と言わず、生きているうちに家族間で相続について話し合うこと。誰でも相続税の対象となりうる大増税時代、賢く生き残ってもらいたい。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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