教師たちが悲鳴!部活動は改革できるか 部活より授業を優先させるための仕組み

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半数近くの教師がまったく未経験の競技の顧問に就いている(撮影:梅谷修司)

校務に忙殺される教師たち。中学・高校ではこれに「部活」が加わる。教科指導のプロを自任する教師たちは、サステナブルな新モデルを探っている。

日本の教師の長時間勤務を明らかにした経済協力開発機構(OECD)の調査。中学教師の課外活動指導時間でも、加盟国平均が2.1時間なのに対し、日本は3倍以上の7.7時間と際立って長かった。

こうした現状に一石を投じたのが、13年3月、「真由子」を名乗る中学教師が始めたブログだった。真由子さんは言う。

「教師のプロフェッショナリティー(専門性)は教科指導。そのプロになりたくて教職に就きました。しかし実際は部活によって朝と夕方、さらに土日がつぶされ、授業準備の時間の確保が厳しい現実がありました」

放課後、職員室で授業準備をしていると「何をサボっているんだ」と先輩教師に注意された。部活が優先される状況に強い違和感を覚えて、職員室で孤立し、ブログ「公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!」を立ち上げた。もっとも、

「最初は反応は少なく、8割は自分に否定的な声でした」(真由子さん)

未経験の競技で顧問に

真由子さんの疑問は、ただ忙しいからだけではなかった。部活は生徒の自主的な活動とされており、教育課程の中に位置づけられていない。教師の本来の職務でないにもかかわらず、実態としては強制的に部活の顧問が割り振られる。そこに矛盾があると感じた。

放課後や朝の練習に対する残業代は支払われず、休日を丸一日つぶされても支払われるのは3千円程度。しかも移動交通費などもほとんど自腹で、実態は教師のボランティアと持ち出しによって成り立っている。

次ページしかし、部員や保護者からは…
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