メガバンク全行、ついに税金を払う 失われた20年越え、「普通の会社」に

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失われた20年を越え、ようやく普通に納税する会社に

実はこれらの銀行は、税務上の欠損金があるために、わずかな法人税しか納めていなかった。みずほが最後に通常の納税をしたのは、旧行時代の01年度。三井住友銀行も01年度の統合以降、一度も通常の納税を行っていない。

足下の業績が好調なのに納税に至らなかったのは、1990年代後半からの不良債権処理があまりに巨額だったためだ。

これらの銀行は繰延税金資産の計上とともに、今春にも本格的に納税を開始する。「失われた20年」を超えて、メガバンクがようやく“普通の会社”になったことを表わす。

もっとも、その間、3メガバンクは貸出残高を大幅に減らしている。銀行内に資金が滞留し、企業に回らない。金融緩和がさらに進む中で、メガバンクはリスクマネーの出し手として本来の姿を取り戻さなければならない。

好業績に浮かれている暇はない。普通の会社になったメガバンクは、その存在意義がより問われることになる。

(撮影:吉野純治)

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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