「沖縄の貧困」を最底辺で支えるヤミ金の壮絶

那覇市内の"高齢売春特区"で起きていること

栄町社交街で見られる「旅館」の看板

「全然、おカネが足りなくて困っている最中です。もっと働くしかなくて、昼間働けるソープを探しています。なんとかおカネを作って返すしかないです。消費者金融とか銀行は、風俗嬢は無理、おカネを借りるのはヤミ金しかないんですよ。無駄使いをしたわけではないのに、ほんとうに大変なことになっちゃいました。もう自分でもわけがわからないです」

19歳の頃は1日2万5000円稼いだ

彼女は沖縄の離島出身。高校卒業後、福祉系専門学校への進学で那覇に出た。専門学校の学費と家賃は両親が支払い、生活費は自分で稼ぐというプランだった。19歳の平良さんが高収入求人情報誌にあった日給3万円の求人に応募したら、そこは真栄原新町のちょんの間だった。10年前の学生時代に売春を始めている。

「興味本位でした。求人見て、本当に3万円ももらえるのかなって。まだ学生だったので、すごいと思って面接に行っちゃった。離島には風俗ないし、友達にそういう人もいなかったし、全然わからなくて言われるままちょんの間に立ちました。即体験入店みたいな。それまで彼氏くらいしか経験なくて、何もわからなかったけど、1週間くらいで慣れちゃった」

両親や地元の友人は、離島。那覇に住み始めたばかりで、専門学校から離れていれば誰にもバレないと思った。当時、真栄原は盛況で19歳の平良さんにはお客がつき、1日2万5000円は稼いだ。学校に行きながら売春で月20万円以上を稼ぎ、それなりにゆとりある専門学校生活が続いた。

「1年くらいした頃、学校の同じクラスの男友達にバレちゃった。店の目の前にいて、“何しているの?”みたいな。一応、口止めしたけど、それから学校に行きづらくなった。沖縄は夜の仕事への偏見は、けっこうすごい。同じクラスだったし、徐々に学校に行かなくなって、最終的には辞めた。辞めてからは真栄原の仕事を続けて、地元と那覇を行ったり来たり。気づいたら10年とか経っちゃって、焦りばかり」

本当はどうしたいのか?を尋ねると、「昼の仕事をして普通の生活がしたい」と言う。彼女は風俗嬢を10年間続けているが、貯金があるどころかヤミ金の支払いで食事も満足に取れない状態だ。地元に帰ろうにも、ヤミ金の返済を終わらせないと身動きが取れない。違法風俗で本番を売っても貧困状態で、ヤミ金の負債は膨らむばかり。これから始めるソープランドとのダブルワークが、最後の手段となる。

「風俗の仕事はすごく疲れるし、嫌になる。だから精神的に疲れて、何年に1度か那覇を離れて地元に逃げちゃう。でも地元に帰っても最低賃金の仕事しかないし、希望みたいなのは何もない。昼の仕事に就いて普通の生活をするのが夢だけど、それはおカネがある人だけができること。私はいつまで経っても無理です。今は本当にヤミ金のおカネを返して、リセットするしかないです。今年中には何とかしたい」

彼女が溜息をつきながら語る「昼の仕事ができるのは、おカネがある人だけ」とは、風俗嬢たちがよく言う言葉だ。一般的な仕事に就くと、最初の給与の発生は就業初日から1カ月半~2カ月先になる。手元に30万円はないと、その空白の期間を乗り越えることができない。

沖縄は基本的に最低賃金に張りついた仕事ばかりで、恋人ができてもDVが蔓延して、男もおカネを持っていない。手元に30万円という壁が乗り越えられず、日払いの売春の世界から抜け出すことができないのだ。平良さんは裸の世界に足を踏み入れてから、気がつけば10年間が経ち、栄町のおばさんたちは30年間以上が経ってしまっている。そこにヤミ金たちが付け入り、さらに貧困が深刻化している。

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