EU加盟国間の鉄道旅行は本当に便利なのか

6カ国の移動で見えたグローバルパスの利点

チェコとドイツの国境を超える私鉄のローカル列車。国境通過を意識することなく、建物の様子でドイツ国内へ入ったことを知る

マリーアンスケ・ラズニェに一泊した後、次の訪問地はドイツのクヴェドリンブルクだが、宿泊先の関係でいったんベルリンへ移動となる。乗換駅のヘプで待っていたのは、民間に委託された2両編成の私鉄のディーゼルカー。複雑に入り組んだ国境線に沿って、何度か両国間を出入りした後、特に何の表示も案内もなく、気が付けばドイツ国内を走っていた。

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オランダ北部の田園地帯を走るローカル列車。国鉄ではなくドイツ系民間企業のアッリーヴァ社による運行

かつてユーレイルの加盟国は、西側諸国が中心で、中欧や東欧と呼ばれる地域は通用しない国が多かったが、加盟国は年々増加しており、チェコも2009年に加盟しているため、ユーレイルグローバルパスを持っていればシームレスな移動が可能だ。人や物が自由に行き来できる、というのもEUの基本理念の一つであり、ユーレイルへの加盟は、まさにその象徴という風にも見える。

いくつもの列車を乗り継ぎ、我々一行はベルリンに到着した。翌日はクヴェドリンブルクへ向かい、その日の夜行列車で最終目的地となるオランダのヒンデローペンへと向かう。ここからは通貨の心配は不要だ。食料調達のため訪れたベルリンのスーパーマーケットで、特に気にせずにユーロ通貨が使えるありがたさを実感しながら、遅い夕食にありついた。

英国はEU離脱で「孤立」するか

プレスツアーを終えて私の住む英国へ戻ると、7日間で計3500キロ超を移動したこの旅の最初で最後の国境審査が待っていた。入国カードを記入し、長蛇の列に並び、係官の質問に答えなければならない。

英国の入国審査のゲートは、EU圏各国のパスポート所持者と、非EU圏のパスポート所持者に分かれている。EU圏パスポートも審査が行なわれるが、非EU圏の列よりはるかに進みがよく、入国カード記入の必要もない。しかし、英国がEUから離脱すれば、全員が同じように列に並ぶことになる。当然、混雑も避けられなくなるだろう。

言うまでもないが、ヨーロッパという地域を旅する上で、煩わしい国境審査や両替という行為が増えれば、それだけ手間が増えるということである。現在でも英国はシェンゲン協定に加盟しておらず、ユーロ通貨も導入していない点で他のEU諸国とは一線を画している。英国民が選んだEUからの離脱であるが、どうもこの国が「孤立」する感じが否めないと思うのは私だけだろうか。

(写真は筆者撮影)

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