中国は製造業でもアフリカに根を張っている 自動車メーカーも現地に組み立て工場

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マーはリーゼント風の髪型に180センチほどもある長身の男性で、エチオピアには2011年、重慶の本社で2年働いた後に赴任して来た。「いずれ市内のタクシーはすべて力帆車にしたい」と意気込みを語る。同社はエチオピアを自動車輸出のアフリカのハブにする予定で、まず2年後をメドにエジプトに輸出を始める予定だという。

アディス・アババ市内の中国自動車メーカー「力帆汽車」のショールーム ©Kiyori Ueno

「エチオピア人はトヨタ車への信頼が非常にあつい。しかし、我々のエチオピア人の顧客の中には『日本車も昔は質が悪かった。中国車もそのうちよくなる』と言ってくれる人がいる。我々がトヨタに追いつくのには長い時間がかかると思うが、追いつかねばならない」とマーは語気を強める。「トヨタはまだエチオピアには進出していない。リスクを取りたがらないようだ。中国では『より高いリスクを取ることから大きな将来はやってくる』ということわざがある。私たちは将来を見据えて大きなリスクを取っている」。

中国がアフリカに急速に進出し始めたのは2000年ごろだ。中国政府は“走出去 (Go Global)”戦略を打ち出し、中国企業による海外投資を推進し始めた。経済の急成長を遂げていた中国は天然資源豊かなアフリカに他国がまだ進出していないマーケットがあることに気づいた。以後、中国とアフリカの貿易額は年々増大し続け、2014年には2000億ドルを超え、2000年時の20倍以上に拡大。今や中国はアフリカ最大の貿易相手であり、アフリカに進出している中国系企業の数も3000社を超えていると言われている。

莫大な資金提供を行うFOCAC

中国とアフリカの結びつきの強さを象徴的に表すのが“中国・アフリカ協力フォーラム”(FOCAC)だ。FOCACは2000年に始まり(当初は“中国=アフリカ協議フォーラム”の名称)、昨年12月、南アフリカのヨハネスブルグで開かれた第6回FOCACでは、中国はそれまでのFOCACが開催される3年おきに資金提供額を倍増するという慣習を破り、前回開催時の3倍にあたる600億ドルの資金を提供すると表明。今後3年間でアフリカの工業化、農業の近代化、インフラ整備、貧困や環境対策などを含む10の分野への協力を行うと約束した。

中国はまた、2012年にはアディスに全長100メートル、20階建てのアフリカ連合(AU)本部ビルを建設。総工費2億ドルのビルをプレゼントしたことで、あっと驚かせた。 

中国の習近平国家主席は「一帯一路」(中国とアジア、中東、ヨーロッパをつないで経済連携を強化しようという壮大な計画)を提唱している。中国はアフリカで初となる軍用基地をエチオピアの隣国ジブチのアデン湾に建設する予定だ。ジブチは「一帯一路」の現実化に向けて欠かせない拠点の1つである。

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