劣勢のスズキ、女性目線でダイハツ追撃

苦戦が続く軽ワゴンを刷新し、挽回を狙う

スぺーシアはパレットをフルモデルチェンジしたもので、田村実副社長(国内営業本部長)は「広い車内空間を誰もがすぐにイメージできるように名称変更した」と説明する。あえて車名を変更してきたところにスズキの危機感が透けて見える。

子育て女性に照準

実際、広さにはこだわっている。パレットは、競合車と比較した場合、外観を含め広さで遅れを取り、それが成績に響いたという大きな反省があるからだ。

スペーシアでは車室の前後長や天井の左右間隔を広げただけでなく、床高も下げ、ダッシュボードの大きさも変更して広さを追求した。

また、ターゲット層をファミリー、それも赤ちゃんから小さな子どもを育てるお母さんに絞った。ファミリーカー購入の決定権を握るのはまさにお母さんだ。彼女たちに訴求できなくては勝負にならない。

開発を担当した熊谷義彦・四輪技術本部第一カーライン長は、「多くの子育て中の女性の車利用状況を調べ、その不満を解消することに力を入れた」と言う。

その一つが収納の充実だ。たとえば、子どもの乗る車には必需品の箱ティッシュペーパー。助手席前や天井には箱ティッシュ専用の収納ボックスを装備、ドアにも収納スペースをふんだんに設けている。

さらに、子どもを抱っこするなど両手がふさがるシーンが多いことを想定、ワンタッチで後部ドアのロックと開閉ができる仕組みを軽としては初めて導入した。

販売面では営業店の統廃合と大型化を進め、女性も入りやすく使いやすい改装やサービスの導入を強化している。

ホンダ、ダイハツの壁が立ちはだかるうえに、今年からは日産自動車もスズキからOEM供給を受けるのをやめ、三菱自動車との合弁会社による軽を主力に据える。軽市場は堅調だが競争は一段と激しくなる。スズキが目指すシェア回復にスペーシアの成功は不可欠だ。

(撮影:尾形文繁)

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