CNNの分散化メディア最前線から見えるもの 「コンテンツとその配信方法は不可分だ」

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カリタ氏は今後、CNNのデジタル編成担当バイスプレジデントとして、最大18人のチームを率い、モバイル、ソーシャル、Webサイト、アラートの編成を行う。これは、CNNが進めている事業のなかでも、より大がかりな「テレビからデジタルへの移行」プロセスの一環だ。この移行のために、同社は2000万ドル(約20億円)をかけて200人を採用する。

「CNNはすでに、計り知れない価値を社会に提供している」とカリタ氏は語る。「我々が行いたいのは、ごく大雑把に表現するなら、新しい出来事が起きて人々がCNNのチャンネルを観るとき、チャンネルを変えずにいてもらう方法を見つけ出すこと。これは、あらゆる場で新たな読者を見つけることと同じだ。コンテンツとディストリビューション(記事配信)を分けて考えるべきではない。人々がどこで読むのかを考えなければ、うまくいかないからだ」。

カリタ氏のチームは現在12人で、さらに最大6人の採用を予定している。チームはCNNのソーシャルニュース責任者、サマンサ・バリー氏と緊密に連携しながら、ニュース配信のベストな方法を見極めている。

いま求めている人材

そのためカリタ氏が求める人材は、ジャーナリズム、テクノロジー、プロダクト、デザインのスキルをもつ人物で、複数のスキルを併せもつことが望ましい。プラットフォームと分散型コンテンツのノウハウを把握しており、ビジュアル分野での経歴もある、といった具合だ。

カリタ氏は、そういったタレントをもつ人材は「業界では極めて貴重であり、誰もが求めている」ことを認識している。それでも、可能性があればニュースの定型を破って、新しいものを創造することを厭わない人物を求めているという。

「このようなスキルをすべてもっているとしたら、たとえば、『ポケモンGO』のプレイ画面を再構成してSNS動画を作り、このアプリがどんなゲームかを説明するようなことかもしれない」と、カリタ氏は説明してみせた。「あるいは、アニメーションになるかもしれない。我々はニュースの伝え方を変えられるだろうか? キャラクターを登場させて、ニュースの意味を解説させるのはどうだろうか? いくつかのニュースをメタ(抽象)化して伝えるのはどうだろうか? そうしたニュースは、CNN.comやネットワーク局で生放送する以外の配信方法があるはずだ」。

CNNは、すでにプラットフォームで大量のニュースを配信している。コロンビア大学ジャーナリズム大学院トウ・センターの調査によると、4月最終週にCNNが発行したニュースは1カ月で2046件で、「FOXニュース」や「ハフィントン・ポスト」といった、ほかの大手ニュースパブリッシャー8媒体を上回った。

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