「ブロックチェーン」は社会の基盤になるか 伊藤穣一氏、村井純氏らが指摘
派手なトライ&エラーが繰り返されている
暗号通貨・ブロックチェーン界隈では派手なトライ&エラーが繰り返されている。6月の非中央集権型ファンドTheDAOへのアタックなど、さまざまな損失が出ており、一部で「難しい報道」も出てしまった。MITメディアラボ所長の伊藤譲一氏はブロックチェーンに投じられている資金に対して、技術の未成熟さを指摘。研究機関がブロックチェーンの安全性を確かめていくことで、非中央集権(ディセントラライゼーション)が実現すると伊藤氏は語っている。ブロックチェーンはインターネットが世界中に行き渡った社会の新しい基盤になるのだろうか。7月初旬に開かれたTHE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016 TOKYO(主催デジタルガレージ)のセッションをまとめた。
「インターネットとブロックチェーンは似ている」。MITメディアラボ所長の伊藤譲一氏はブロックチェーン・暗号通貨をインターネットのアナロジーで語っている。伊藤氏はビットコインなどのデジタルキャッシュのブームに一定の評価をしてはいるものの、基幹部分が出来上がっていないと主張している。基幹部分を支えるためには、暗号学、セキュリティ、金融、コンピュータ科学をまたがる知識を有するエンジニアが足りていないことに警鐘をならしている。
伊藤氏はこう危惧する。「ブロックチェーンへのベンチャー投資の金額は昨年で10億ドル(約1050億円)を超している。ネットの1996年の勢いを超えてしまっている。しかし、実際の技術的なレベルはまだネットの90年ぐらい。しかし、アプリケーションを作りだしちゃっているのだが、まだそれを支えるインフラができていない」。