エディオンvs上新電機、営業秘密を巡る争い

企業は元社員の不正をどこまで問えるのか

このため、エディオンとしては上新電機に対する損害賠償請求訴訟の提起を企図するが、問題は証拠をどう確保するかだ。

そこでエディオンは、大阪府警が強制捜査で押収し、大阪地検に保管されている証拠物を、上新電機側に返却されてしまう前に押さえるべく、大阪地方裁判所に証拠保全の申し立てを行ったところ、何とこれが認められたのである。

大阪府警が押収した証拠物には、エディオンの営業秘密とは無関係なものも含まれている。よって担当裁判官が大阪地検に出向き、エディオン側、上新電機側双方の弁護人立ち会いのもと、本件に関係があるものだけを抽出する手続きが行われたわけだが、一般に捜査当局が押収した証拠を、民事事件で使う目的で検察から提供を受けることはできない。例外は交通事故に関する証拠であり、法務省の通達で提供を受けられる仕組みが確立しているに過ぎない。

セキュリティでは丸腰の日本企業

刑事訴訟法上は「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合」は、提供を受けられるようになっているが、「本件のような法人同士の民事事件で認められたのはおそらくこれが初めて」(エディオンの代理人である苗村博子弁護士)だという。

ちなみに、医療裁判を起こす前に患者が医療機関の保管するカルテの証拠保全を行うのは、常道になっている。山崎豊子原作の「白い巨塔」をはじめ、医療裁判を扱った小説やドラマ、映画には、カルテの証拠保全の場面が必ず登場するが、これはそもそも捜査当局の押収物ではないし、その場所に目的物が保管されていることが明らかだからできる。

エディオンは保全手続きから約2カ月後の4月25日、上新電機に対する50億円の損害賠償請求訴訟を起こし、現在審理中だが、従業員による営業秘密の持ち出しを事前に防ぐことは出来ないのだろうか。

「在職中の社員による持ち出し自体を防ぐことは事実上無理だが、持ち出しそうな社員を監視する仕組みを作ることは可能」(前出の神吉氏)だという。

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