新都知事で実現?銀座〜有明「地下鉄構想」 五輪後の臨海部発展に中央区は期待するが…
開業年次は2025年、運行本数はピーク時15本/時、オフピーク時8本/時で試算された。2030年の輸送需要は10万~14万人/日と推計している。事業概算費は2410億~2580億円(車両基地部470億円、車両費や用地費なども含む)と、キロあたりの工費はかなり高めだ。銀座付近など都心超一等地での施工の難しい地区があるのも一因だ。
将来的には、新銀座駅から先に延伸することも検討している。
▽渋谷方面 東急田園都市線と結節 新銀座~六本木~桜新町13.4km 9駅 4100億円
▽新宿方面 西武新宿線と結節 新銀座~六本木~西武新宿9.7km 10駅 3700億円
▽羽田空港方面 新国際展示場~羽田空港 12.1km 3駅 2500億円
上記の4案が延伸区間として示された。このうち、新銀座~東京駅~秋葉原間の延伸構想が、今回の答申で盛り込まれている。
きっかけは五輪誘致
臨海地域地下鉄構想が浮上してきた背景は2つある。
1つは、東京都が2005年頃から始めた東京五輪の誘致活動だった。都は2007年、中央区晴海地区にメイン会場となる新競技場を整備する方針を発表する。会場の多くは有明やお台場など湾岸部に集中させる計画だった。
ただ、晴海のメインスタジアムの建設地は、大江戸線勝どき駅、有楽町線豊洲駅から1.5km程度離れている。アクセスは悪い。晴海と都心部を地下鉄やLRTで結ぼうという声が出てきた。
だが、2009年に「2016年リオデジャネイロ五輪」が決定した後、都庁は「2020年東京五輪」のメイン会場を国立霞ヶ丘陸上競技場の建替案に、晴海には選手村を整備する方針に変更した。
この後、中央区は、2011年から有楽町~築地~晴海でBRT(バス高速輸送システム)を整備する構想を検討する。東京五輪や選手村跡地の再開発をきっかけとして、今の都バスより高速運転可能な中規模交通機関の整備を目指し、2012年の中央区総合交通計画で盛り込む。
2013年に「2020年東京五輪」の開催が決まると、東京都都市整備局がBRT構想を引き継ぐ。中央区の構想とがらりと変えて、BRTバスが虎ノ門と晴海・有明を結ぶ環状2号線を走行する前提で計画を練り直した。運行事業者には京成バスが選ばれた。
計画によると、2019年度に新橋駅~勝どき、新橋駅~晴海三丁目~豊洲駅の2ルートで運行を始める。高速運行を可能とするため、途中の停留所は勝どき、晴海三丁目など3カ所に絞った。
五輪開催時点でどのような輸送計画となるのか。まだ未発表であるが、2020年に暫定開業する日比谷線虎ノ門新駅の隣接地にBRTバスの拠点が設けられる。虎ノ門と晴海選手村を結ぶ便が頻発することになるのだろう。
終了後、虎ノ門・新橋~勝どき~国際展示場駅間の本線を中心に、豊洲や晴海五丁目(選手村跡地)への支線、東京ビッグサイトなどへの臨時運行も行う構想になっている。将来的には東京駅近くへの延長も目指すという。
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